今日生徒に指導したこと

 「わからない」という状態に対して自らアクションを起こすこと

 「理解力」という言葉があります。

僕はこの言葉をほとんど信じていません。というより

 「理解力」なんてものはない

 と思っています。なぜなら、理解することは技術だからです。

おそらく世間的には

 難しい問題や文章を見て、意味がわかる人は理解力がある

 という意味で使われているのだと思います。「噛み砕く力」のような感覚で使われているのでしょう。しかし何か難しいものを見て、そこから理解に至るかどうかは「理解力」などという謎のパラメータによっては決まりません

 「理解力がある」という状態は詳しく分析してみると下記の2パターンに分けられます

   既に学習している知識の量が多い

「わからない」に対してアクションを起こせる

 

既に学習している知識の量が多い

 このパターンは書いてみれば当たり前ですが、既にわかっている知識の量が多い人と少ない人では、目の前にある文章の難易度が違ってくるのは当然です。

例えば「電磁誘導」という言葉をWikipediaで調べてみると、こうあります。

 電磁誘導:磁束が変化する環境下に存在する導体に電位差(電圧)が発生する現象

 この説明を見たときに

磁束

導体

電位差

を既に知っている人は特に難しいとは感じないはずです。

逆にこれらの言葉を知らない人には「何言ってるか全くわからない」と感じるはずです。

これは「理解力」などの差ではなく、単純に知識量の差です。

 このように知識量の差が「理解力」という謎のパラメータに見えてしまうケースがあります。

 しかしこのケースは学習を続けていけば勝手についてくる力なので、個人の学習をデザインする際にはあまり考える必要はありません。

 

わからない」に対してアクションを起こせる

 大切なのはこちらのパターンです。

ここに2人の生徒A君とB君がいるとします。この2人に先ほどの電磁誘導の説明を見せてみます。二人の知識量はほとんど同じで、磁束や導体や電位差といった言葉は知らないとします。

 すると最初のリアクションは2人とも同じです。

 「何言ってるか全然わからん!」

 となります。

しかしここからが違います。理解力がないA君は「わからん!」となってからどうしていいかわかりません。とりあえず繰り返し説明を読んでみます。しかし何度読んでもやっぱりわかりません。しばらくすると固まってしまいます。

 理解力があるB君は「わからん!」となってから様々な工夫をします。まずB君は

 「そもそもこのWikipediaの説明がわかりにくいのだ!
             もっとわかりやすいサイトがあるはずだ!」

 とタブレットでサイト巡りを始めます。塾にある参考書を見てみたりもします。なかなかわかりやすいサイトにはたどり着きませんが、だんだんと「どの説明にも磁束や電位差といった言葉が使われている」ということに気づき始めます。

 「どうも電磁誘導というものを理解するには、
  磁束や電位差という言葉がわかる必要があるらしい。
   自分はまだこれらの言葉を理解していないな」

 今度はタブレットの検索欄に「磁束」や「電位差」と打ち込んでサイト巡り再開です。

 このB君はどれだけ時間がかかるは別として、最終的には必ず電磁誘導を理解することでしょう。

ここで重要なのは「わからない」に対してなす術がなかったA君に対して、B君は(効果的かは別として)何かしらのアクションを起こしたという点です。

 

これが理解力の正体です

 

いくら理解力がある人でも、見た瞬間には意味がわからないことなど山ほどあります。前述した通り、知識量が同じであれば、やっぱり難しいと感じるのです。

大切なのはそこからで、「わからない」に対して能動的にアクションを起こせるかどうかが、理解力のある人間になれるかどうかの分かれ道です。

「わからない」に対して起こすアクションとしては

・ネットで調べる

・人(先生など)に聞く

などが代表例です。もちろんこれらの解決策でも良いのですが、

世間一般の「理解力がある人」はネットで調べたり人に聞いたりすることなく、自分で説明を読んだだけでさらっと理解しているように見えるものです。これにはもちろんタネも仕掛けもあり、つまりそういう人は「理解する技術」を身につけているということです。ウチでは授業の際にこの理解する技術を生徒に指導しています。もちろん技術なので、知ったから即使えるということではありません。まずメカニズムを理解する必要がありますし、その上でトレーニングも必要です。

 しかしトレーニングを積んだ生徒たちは「わからない」に対して立ち止まることはほとんどありません。ウチにはたまに塾や学校の先生方が見学に来られることがありますが、その際に皆さん驚かれるのが

 生徒が「わからない」を自己解決している

 という部分です。これまでの教育では

 理解力がない生徒は先生のサポートが必要

 というのがお決まりの考え方なので、全ての生徒が「わからない」を自己解決している状態は教育業界では「異常」だとみなされます。

 

しかし「理解する」にはちゃんとそれに到るための技術があり、それは誰でもトレーニングによって身につけられるものです。そして「わからない」に対して自らアクションを起こせるようになれば勉強は劇的に変わります。

 まずは「わからない」に対して、何でも良いので一歩踏み出すことをしてみて下さい。

まだ学生の人はウチの体験授業でもこの技術は伝えていますので、是非体験授業だけでも受けてみて下さい。