データだけではわからないこと

一般的な学校や塾・予備校の学習アドバイスはデータに基づいてなされます。
データとは例えば定期テストの点数だったり、模試の点数や偏差値だったりです。

もちろんこういったデータは正しい学習を考える上でとても参考になります。
ですが、一方で過信してはいけない面もあります。

例えば模試の数学で次のような結果が出た生徒を考えてみましょう。

関数は満点。図形は半分。そして確率は0点です。
こういうデータがあると、ついついこの生徒を
・関数が得意で
・図形はそこそこで
・確率が苦手

な生徒だと推測してしまいがちです。

確かにデータだけではそう判断するしかなく、おそらく模試のアドバイスには
「確率を勉強しましょう」
と書かれているはずです。

でも、本当に?

例えば、この結果が出た原因が時間不足だったとすればどうでしょう?

関数で時間を使いすぎてしまった。図形は途中まで着手できたが、確率の問題は読んですらいない。
だからこの結果になったとしたら?
それでもこの生徒は確率を勉強すべきなのでしょうか?

そうではないはずです。
むしろ解くのに時間がかかりすぎている関数を勉強すべきでしょう。

もちろん、これはあくまで仮説のひとつで、本当にこの生徒は確率が苦手なのかもしれません。
つまり、データは生徒の一部しか表していない
これは正しい勉強を考える上で注意しなければいけないことのひとつです。

テストは何を測っているか?

同じようなことがテストそのものにも言えます。

例えばテスト範囲が100問ある数学のテストがあるとしたら、実際に出題されるのはその中でも10問程度です。
そもそもテストによって理解度を測ることができるのは、実際に測りたい領域のほんの一部でしかありません。

さらに、その中の1問が正解だったとして、その生徒はその問題を習得していると言えるでしょうか

もちろん完璧に理解した上で正解だった可能性もあります。
しかし、もしかすると、その問題が出ることにヤマを張っていて丸暗記したのかもしれません。
公式を意味もわからずに丸覚えして、深く考えずにその公式を使ってみたらたまたま合っていたのかもしれません。

逆に不正解だった場合、その生徒はその問題を習得していないと言えるでしょうか

先ほどの模試の例と同様に時間不足で着手できなかったのかもしれません。
問題自体は理解していても、ケアレスミスをして答えが違ったのかもしれません。

テストだって人間が作った不完全なものです。
テストで全てが測れているワケじゃない
これも正しい学習を考える上でとても大切なことです。

同じ問題を解けば同じ効果が得られるか?

次はこちらの問題を見て下さい。

ごく普通の引き算の問題です。
このシンプルな問題には、実は細かく分ければ30通り以上の解き方があります。

例えばこんなふうに一般的な引き算の筆算のやり方で解く人もいるかもしれません。
一方で

こんなふうに足し算の問題だと捉えて解く人もいるかもしれません。

何が言いたいかというと、この問題は
ある人にとっては引き算の筆算の力を鍛える問題
またある人にとっては足し算の力を鍛える問題になるということです。

同じ問題でも、解く人のアタマの中によって鍛えられる力が違う
小学校レベルのシンプルな問題でさえそうなのです。
中学・高校とレベルが上がるに従って、それだけ中身が複雑になるのは言うまでもありません。

アタマの中を見る力とは?

ここまで見てきたように、
どんなテキストで勉強し、
どんなテストを受け、
その結果が何点であったとしても、
それだけで生徒の状態を正しく知ることはできません。

テキストもテストも点数も、生徒の状態を推し量る上で重要な材料であることは間違いありませんが、
最終的には生徒の状態はアタマの中で何が起こっているかを見るしかないのです。
そしてその方法は個別に観察・ヒアリング・分析をするということしかありません。

当会では受験と学習のプロが専門知識をもって精密に生徒の学習状況を把握しアドバイスします。
だからこそ本当の弱点に効かせる学習メニューを提案でき、学力アップに繋がる可能性が高くなります。

本人だけが全て知っている

とはいえこのやり方では、あくまで生徒に質問を重ねる中で、あるいは普段の生徒の学習を見る中で得られた限られた情報の中で推測するしかありません。
さらに、授業時間だって生徒がする学習全体の中では微々たるものです。全てを観察・分析するなんて到底できません。

だから、当会ではもっと良い方法も同時に採っています。
それは、生徒自身が考えることです。

確かに当会では上で説明したような観察・ヒアリング・分析を指導者が行います。しかしそれは

「こちらが分析して指示を出すから、君はそれに従ってね」

という意味ではありません。

「こういう分析をすると、やるべきことがはっきりするでしょ?これをひとつのお手本として、自分なりに色々な勉強に試してみてね」

という意味です。

当たり前の話ですが、生徒自身は学習中に、あるいはテスト中にアタマの中で何が起こっていたのかを全て知っています。
なぜなら自分自身のことだからです。

もし、生徒自身に分析能力があれば?
もし、生徒自身に課題発見能力があれば?
もし、生徒自身に課題解決能力があれば?

それが理想に決まっていますよね。
そのような考えから当会では学習を見る着眼点を生徒に伝えつつ、考えるプロセスは生徒自身に任せるコーチングという手法を採っています。

ここまでお読み頂いてコーチングという手法に興味を持たれた方は是非こちらも合わせてご覧ください。