勉強の質を高めるためにはPDCAサイクルで考えるのが効果的です。

今回はその中から計画のポイントを1つ取り上げます。

計画段階ではウチでは例えば

こんなシートを書いたりします。
(必ずしも全員がやるわけではありません)

計画のポイントは全部で6つあります。

・目標の立て方
・課題分析
・自己分析
・優先順位
・学習メニュー
・スケジューリング

今回は

目標の立て方

を詳しく説明します。

目標設定は
とりあえず取りたい点数をテキトーに書く
とかで流してしまう生徒も多いんですが、勉強が上手い人は実はここにもちゃんとした考えと工夫が入っていて、すごく重要な部分です。

明確な目標を立てる

まず目標は明確でなければいけません。
明確であるとは、簡単に言えば

達成できたか、できてないかが誰にでも判断できる

ということです。

テストの答案を誰かに見せて
自分は目標を達成できたと思いますか?
と尋ねるところを想像してみて下さい。

例えば

計算問題を頑張る
とか
英単語で点を取る

という目標設定だとどうでしょう?

これだけ
何点取れたら目標達成とみなすのか?
正答率がどれくらいなら目標達成とみなすのか?
がわからないので、見せる人によって判断が変わってきてしまいます。

そうではなく

数学で80点を取る
英語で70点を取る

みたいな目標の立て方にしましょう。

これなら結果を誰に見せても目標を達成できたかどうかの判断は一致するはずです。

誰にでも判断可能な、明確な目標を立てる。

これがポイントの一つ目です。

気持ちが乗る目標を

目標には気持ちが乗っていることが大前提です。

目標を書けと言われたから書いただけ。
計画シートに記入欄があったから埋めただけ。

では効果はありません。

ちゃんと、心から
達成したい
と思える目標を書いて初めて意味があります。

とはいえ、
多くの生徒は勉強なんてしたくありません。
定期テストや受験が設定されていなければ、勉強なんてしない人が大半でしょう。

それはみんなそう。

そこから技術の差がでます。

どんな技術かと言うと
自分をその気にさせる技術
です。

勉強が上手い人の多くは、別に勉強が好きなワケでもないし、特別に意味を見出しているワケでもありません。

受験に必要だから
就職で有利だから

これらは「勉強することを選ぶ」ためのモチベーションではありますが「勉強を頑張る」ためのモチベーションにはなりません。
多くの場合、原動力は別にあります

小学校の頃、下校道で
決まった色のタイルの上しか歩けない
みたな遊びをしませんでしたか?
(マンホールはセーフね)

あるいは、公園でキレイな石を集めるとか。
フェンスに先にタッチして戻ってきた方が勝ちとか。

あれ、全く意味がありませんよね?(笑)
できたからって何の得もない(笑)

でも僕たちは、そういう無意味なことに本気になっていたのです。

勉強が上手い人は、テストにおいて意図的にそのモードになることができます。

別に勉強は好きじゃない。
正直、成績を上げたいとも思わない。
受験や就職は大事だけど、今はまだ実感がない。

つまり、勉強を頑張る理由なんてない

だからこそ、テストで点を取ることを決まった色のタイルを踏むゲームにしてしまうわけです。

別に意味はない。
できたからって得にも感じない。
ただゲームとして本気になる

ある意味で自己洗脳です。
これを意図的にできる人はどの領域でも伸びます

勉強にモチベーションを感じない人は、こういう技術を練習するのが良いと思います。

コンフォートゾーンを出る

コンフォートゾーンというのが目標を立てる上での大事な考え方です。
これは社会に出てからもよく言われる、重要な考え方なので詳しく説明します。

例えば人間関係において、自分がいつも一緒にいる仲間や家族と過ごしている分にはストレスはほとんどありません。その代わり、新しい刺激が入ったり、内面的に大きく成長することもありません
これがコンフォートゾーン(心地よい領域)。

そこから少し広げてみます。
例えば普段はあまり話さないクラスメートや部活の仲間
こういう人たちと思い切って交流を持ってみたりすると、新しい考え方や価値観に触れることになり、刺激や成長が得られます
これがラーニングゾーン(学びのある領域)。

さらに広げて、普段全く接点がない人
全然関わったことがない部活のグループに自分が入っていくのをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
こういう環境で人と話してみても会話を成立させるのが精いっぱいで、刺激や成長を得る余裕などありません
これがパニックゾーン(恐怖を感じる領域)

図解するとこんな感じ。

目標設定にもこの考え方が重要です。

例えばいつもテストで60点ぐらい取っている人がいるとします。

その人が次のテストも今まで通りに振る舞えば、多分同じような点数が取れるでしょう。
その人にとっては60点前後がコンフォートゾーンということになります。

このあたりを目指しておけば
特に新しいことに挑戦する必要もなく、その代わりあまり成長も得られません。

70~80点ぐらいがラーニングゾーン
この辺を目指すと今までの学習に少しプラスの努力や工夫をする必要が出てきて成長に繋がります。

90点以上はおそらくパニックゾーン
これを目指すと今までとは全く違った努力の仕方が必要になり、量的・質的にそれに耐えられないことが多いです。

このように、目標設定はコンフォートゾーンから少し出たあたりのラーニングゾーンに設定できるとベストです。

目安としては普段取っている点数から+10~20点ぐらいですが、ただ機械的に+20点しておくとかはやめてください。

・自分にとってのコンフォートゾーンはどのあたりか?
・この教科ではどれくらい加点するとラーニングゾーンになるか?

を自問自答することも大事なトレーニングです。

自分にとってのコンフォートゾーンとラーニングゾーンを見つけるのが上手くなれば、テスト以外の領域(スポーツでも仕事でも)にも活かせます。

目標設定の工夫

ここまでで

・明確な目標であること
・気持ちが乗っていること
・コンフォートゾーンを少し出ること

という3つのポイントを解説しました。

最後に目標設定の工夫をいくつか紹介します。

目標設定というとどうしても

数学で80点取る

みたいな、科目ごとの点数目標になってしまいがちです。
もちろんこれはこれでOKです。

でも、極端に苦手な科目だったり、受験のための模試の目標設定だったりすると点数が読めないことや、いきなり点数に繋がるレベルの学習をするのに無理があるケースなどもあります。

そういう時は

・計算問題は満点を取る
・英単語の問題で正答率8割以上取る
・2次関数の単元で8割取る

みたいな感じで、出題内容のある範囲に限定して目標を立てるのも一つの方法です。

こちらの方がイメージしやすいため
・気持ちが乗る
・ちょうど良いラーニングゾーンになる

ということが起こりやすいです。

また

・平均点より+10点取る
・〇〇さんに勝つ

みたいな誰か(何か)を基準にしたような目標設定もあります。

勉強においてあまり人と比べることを推奨はしませんが、その方が気持ちが乗るのであれば必要悪として受け入れても良いでしょう。

先に

ただ機械的に+20点して設定するみたいなことはやめて欲しい

と書きましたが、今紹介したように自分の気持ちが乗りやすく、ちょうど良いレベル設定の目標を考えるのもひとつの技術です。

それは自分が本気になることができるゲームのルールを設定するということで、ある意味でモチベーション管理の技術とも言えます。

こんな感じで目標設定ひとつ取っても奥が深いし、色々な技術が詰め込まれています。

決して軽く流すのではなく、よく考え、自分と向き合って目標設定するクセをつけて下さい。