・受験勉強を始めようにも、何から始めていいかわからない

・とりあえず参考書を買って取り組み始めてみたけれど、入試までの道筋が見えなくて不安

こんな人も多いかもしれません。
今回は受験勉強の全体像をロードマップ形式で整理しました。

注意して!

このような年間のロードマップはあくまで目安です。
受験勉強の基本は
・模試を見て分析

・次の模試までの計画を立てる

・模試を受ける

・模試を分析して新しい計画を立てる

というPDCAを回すことです。

GoogleMapを見ながら知らない場所に行く時に
・マップは最初だけ見てあとは進むだけ
という人はいませんよね。
・ちょこちょこマップで確認・修正しながら進む
という人がほとんどだと思います。
それと同じことです。

道を歩くよりもよほど複雑な受験勉強ですから、最初のロードマップにこだわりすぎず、常に自分の状況を観察しながら
・何を勉強するか?
・どうやって勉強するか?
を柔軟に変えていきましょう。

3つの力をつける

何となくのレベル感としては
・地方国公立大&関関同立を受験したい人
を想定しています。
(もちろん具体的な志望校と個々人のレベルに応じてこれに足したり引いたりすることが前提です)

①英単語・熟語
②英文法
③長文読解

の3つの力をバランスよくつけていくイメージを持って下さい。
英語は総合力の科目です。
この3つの力のどれか一つでも欠けていたら点数が取れない(または不安定)になってしまいます。

数学・理科・社会などの科目は単元別の出題が多いので、勉強した単元は点数が取れます。
一方で英語や国語などの言語系科目は特定の分野だけができてもなかなか点数になりません。
この違いは重要なので理解しておきましょう。

では、3つの力をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

英単語・熟語

英単語帳はレベルさえ合っていれば何でもいいです。
レベルというのは
・今の自分の単語レベル
・志望校が要求する単語レベル

の2つです。

たいていは1冊で足りますが、例えば中学レベルの単語すら怪しい人が難関大学を目指すなら基礎的なものと発展的なものの2冊必要なこともあります。

単語帳の例

単語帳が決まったらひたすら反復して下さい。
細かい学習法は割愛しますが、単語をみた瞬間に意味が浮かぶぐらいの完成度じゃないと今のスピード重視の受験英語だと厳しいです。

熟語帳はあってもなくてもOK。
あった方が手堅いので載せましたが。

熟語は最低限度であれば英文法で紹介するScrambleでも勉強できますし、読解の中でも覚えていきます。

何より、熟語は単語よりも推測力が重要になります。
ほとんどの熟語は基本単語の組み合わせですから、各単語についての理解度を上げておいて、未知の熟語と出会っても

雰囲気でわかる

という状態にする方が大事です。
その意味で基本動詞と前置詞についてはイメージを理解し、意味の派生の仕方や傾向を見ておきましょう。
(マップに載せたシステム英熟語は基本動詞と前置詞のイメージに焦点を当ててリスト化しているので便利です)

熟語については
「模試において、熟語力のなさが点数に響いているか?」
をよく観察しながら、必要なら熟語帳を買って覚えるようにすれば良いと思います。

熟語帳の例

単語について1点補足です。

「別に単語帳だけで単語をインプットするわけじゃない」

という意識は持っておきましょう。

人間は複数の情報源から同じ情報が入ってきたら覚えやすいという特性があります。

例えばあなたがある友達Aさんからオススメのカレー屋さんを紹介されたとします。
「へぇ~。おいしそうだな。今度行こうかな」
とその時に思ったとしても数日たてば忘れてしまいます。

しかし後日別の友達Bさんから同じカレー屋さんを紹介されたらどうでしょう?
「あ!そこAさんも言ってた店だ!やっぱり美味しいんだ!」
と印象に残り、記憶が強くなります。

英単語も同様に複数の情報源を持っておくと良いです。
単語帳を2冊やるというパワープレーもあるんですが、スマートなのは文法や長文の学習からも単語を覚える意識を持つこと。

文法や長文を勉強している時に
あ!これ単語帳でやったヤツだ!なんだったっけな…?
と感じ

単語帳を勉強している時に
あ!これ前に長文で出てきた単語だ!
と感じるようになったら良い状態。

3つの力はお互いに影響し合っています。
その相乗効果を上手く利用してあげるのがポイントです。

英文法

英文法とだけ書きましたが、ここには語法も含みます。
ちなみに文法・語法とは

文法:受動態や関係詞など、「どんな単語でもこの形にする」というルール
語法:「この単語の後ろにはこれが来る」みたいな、各単語についてのルール

ぐらいの理解でOKです。

この勉強には3つの目的があります。

①文法問題の対策として
②英作文の対策として
③読解に必要な知識として

特に③が重要です。

志望校によっては①や②がない人がいます。
例えば共通テストなんかも①②ともに出題されません。
そういう人は文法の必要性を最初は感じにくいかもしれません。

でも、読解問題が出ない大学なんてないですし、あるレベル以上の読解をする上では文法理解は必須です。
だから文法の勉強はみんなやるべきです。

ただし、頑張り方は人よって変わります。
・①~③の全てが必要な大学を受ける人
・①③だけの人
・②③だけの人
・③だけの人

これらは全て勉強のやり方や重みづけが違うんですが、今回はざっくりとした全体像なので細かいことは割愛しますが

(A) 英文法を理解し、イメージをつけるための読み物系の本
(B) 理解を確認・定着させるための問題集
(C) 文法理解を読解に活かすための英文解釈の本

という3つをやるのが王道です。(A)を土台としてまず学習し、(B)(C)に枝分かれします。

読み物系の例

読み物タイプは読みやすいヤツを選びましょう。
塾生の人は教室にサンプルを置いているので読み比べてみて!

問題集の例

問題集は学校で配られているかも。基本的に何でもいいです。
志望校で文法問題が出題されず、あまり細かい知識が必要ない人はFocus Finderがオススメ。
必要最低限の知識に絞ってくれているのでコンパクトに勉強できます。

英文解釈本の例

解釈系の本は人によって冊数もレベルも違います。
とりあえず基礎段階としてオススメの3冊を挙げましたが、私立や2次試験でハイレベルな和訳問題などが出る人はもう1段階レベルが高い本までやった方がいいケースも。

英語長文

今の入試は読解がメインです。
だから受験勉強も読解が一番大きなウェイトを占めることになります。

長文問題集もどんな本をどれくらいやるべきかは個人差が大きいです。
特に
・通っている学校
・地の国語力(文脈力)

の2つによって大きく異なるので、今回はあくまで目安で長文問題集3冊+実践演習という構成にしてみました。

最初は7割ぐらい正答できるレベルの本から始めて、少しずつ自分が受ける大学のレベルに近づけていく感じです。

通っている学校の授業でどんなレベルの英文をどれくらい読むかによりますが、だいたい受験までに2~4冊ぐらいです。

長文問題集の例

こんな感じでレベル別になっていて、同じシリーズでずっと勉強できるものが便利です。
(もちろんレベル設定さえ間違わなければ1巻モノの本や別シリーズを使ってもOK)

長文の読み方は
・直読(スラッシュリーディングなど)
・精読(インテンシブリーディング)
・多読(エクステンシブリーディング)
・情報構造に着目した読み方(パラグラフリーディング)
・予測に着目した読み方(アンティシペーション)

などなど色んな手法があるし、どの生徒がどの時期にどんな手法をトレーニングすべきかは違います。

ただ、共通してやって欲しいのは

・音声を活かした勉強(音読・シャドーイング・ディクテーション)
・1つの英文を何度も読む

です。
最近の長文問題集のほとんどはQRコードから音声を再生できるようになっていますが、一応買う本に音声がついているかはチェックしましょう。

そして一つの英文を音読したりシャドーイングしたりディクテーションをやったりと色々して下さい。
人によりますが、1題につき最低10回は読んで欲しい。
(僕は英語が超苦手だった時には40回ぐらい読んでました)

10~11月ぐらいからは過去問演習なども交えて読解の中で足りない力をより明確に分析します。
そこで上に挙げたような色々な読み方の手法からどれをトレーニングするべきか決めるようなイメージです。

実践練習

11月ぐらいに過去問などの実践練習に入れたら良いですね。
10月という意見もありますが、現役生にそれはちょっと厳しいかなと。
やり方次第ですが、12月からでも間に合ってる気はします。

共通テストぐらいのレベルなら夏とかに練習しても良いと思います。
共通テストは処理量がハンパないだけで、それぞれの問題のレベルはそこまで高くないので。

ただ、実践練習は基礎ができている人がやって本当の意味があるもの。
まずはこれまで挙げた本で基礎体力と基礎技術をしっかりつけて下さい。試合はそれからで十分です。

英作文・リスニングは?

入試で英作文がある人、共通テストのリスニングの比重が重い人はこれらの対策も気になると思います。

マップには入れてませんが、もちろん、必要な人もいます。

英作文については
・英単語
・英文法
・英文解釈

の力がある程度ついてからでないとトレーニング自体が成立しない恐れがあるので、早くて夏休みか、秋ぐらいから練習する方が良いと思います。

リスニングについてはとりあえず長文読解で音声を使いまくることでリスニング練習を兼ねることができます。
もちろん出題傾向に合わせた練習は必要なので11月ぐらいから過去問練習をしてみて、明らかな不足があればリスニング練習用の本を買って勉強するのも良いでしょう。

長文読解の勉強で音声を使って真剣にやっていれば、それで足りてしまうケースも多いのであえてマップから外してます。状況によってやるかやらないか決める方が良いと思います。

さいごに

今回のロードマップは期間を3つに区切って
・基礎ターム
・演習ターム
・調整ターム
としています。

それぞれのタームの意味合いとか、勉強で意識することは

こちらの記事にまとめてありますので、よろしければどうぞ。

一番重要なのは最初に書いた通り

結局、人による

ということです。

授業も動画も参考書もカリキュラムもロードマップも

「これをやれば受かる」

というものはないんです。

色んな塾・予備校・ネットの人なんかが色んなことを主張します。
「自分はこの方法で受かった」
「受かった生徒たちはこんなことをやっていた」

でも、同じ方法で落ちた人もいるんです。

結局は最初に書いた通り、ちょこちょこマップで確認しながら進む、ということしかありません。

そしてそのためには正しい分析(現在地)と正しい学習法(歩き方)が必要です。

塾生の皆さんは必ず自己観察・自己分析の視点と、正しい学習法を模索する姿勢は忘れないで。
分析と学習法のアドバイスに関してはマニアレベルの塾ですから(というかそれしか取り柄がない)、どんな些細なことでも相談してきてくださいね!