国公立大学の2次試験も終わり、残すは公立高校入試のみとなりました。
このタイミングで改めて、テストに向けた努力の仕方を確認して欲しくて記事を書くことにしました。
中3の人たちは、受験結果がどうであれ次は高校1年生になります。
高校の勉強は量も質も中学の5倍ぐらいあります。
「なんとなく努力する」とか
「一生懸命努力する」とか
そういう次元でどうにかなる話ではありません。
高校での勉強を少しでもラクにして、楽しい高校生活を過ごすために
残りの受験勉強を一種のトレーニングと捉えて戦略的な努力を身につけて下さい。
旅行の準備
試験の準備も旅行の準備と要領は同じです。
①何が起こりそうか想像する
②その時に必要そうなものを準備する
これだけです。
旅行と違って入試には過去問があるので、それを参考にして試験日を想像して下さい。
「これが出たら困るな…」
「これが出たら取れないな…」
と感じるものに対して
「何を勉強すれば取れるようになるか」
を考える。
これが唯一絶対の原則です。
そしてこの時の頭の使い方として意識して欲しいのが
・全体から部分へ
・手段の目的化を避ける
・数える
の3つです。
全体から部分へ
例えば理科の過去問を解きました。
電流が全くできませんでした。
「ヤバい!電流の勉強をしないと!」
と言って何日も電流の勉強に割いてしまう。
これは悪いパターン。
なぜならできないのは電流だけとは限らないから。
理科にも他の単元があるし、もっと言えば他の科目もあります。
合計点が合格ラインに乗れば良いのだから、電流にこだわる必要があるのかは他の状況によります。
頭は全体から部分の順番で使います。
① 全科目トータルでどれだけ取れているのか、どの科目を伸ばすべきか
② その科目には全部でどれだけの単元があるか、そのうち自分はどれくらいカバーできているか
③ 勉強すべき単元には全部でどんな内容があるのか
こんな感じで受験勉強の全体像からスタートして、少しずつ自分がやるべき内容にカメラをズームしていく感覚です。
これをやらないと、実は後回しにしても構わない単元や、勉強時間に対して得点のコスパが悪い単元に時間を使ってしまうことになりかねません。
思考は常に全体から部分へ。
これを心がけましょう。
手段の目的化を避ける
狙うべきポイントがわかれば、教材を決めると思います。
「精トレの該当単元を1周する」
とか
「サミングアップのB問題を解く」
とか
ここで陥りがちなのが
「そのワークを終わらせることが目的になってしまう」
ということ。
そもそもワークをやるのは試験で得点するという目的に対しての手段だったはずです。
目的:試験で得点すること
手段:ワークを1周すること
こんな感じ。
で、手段ってのは言ってしまえば何でもいいワケです。
目的さえ達成されれば、むしろ最小の方がいいですよね。
でも勉強をしているといつの間にか
目的:ワークを1周すること
手段:がんばる
に変わってしまうんです。
こういうのを手段の目的化と言います。
これを避けるために、常に目的意識を持って勉強しましょう。
目の前のワークは何のためにやっているのか?
本当にこれじゃなければいけないのか?
本当に全部やらなければいけないのか?
常に本番をイメージして
「本番までに〇〇ができるようになりたい。今のワークでその力がついている感じがするな」
というのを感じながら勉強することです。
逆に力がついている、本番に対して繋がっている感覚がないのであれば、その勉強は疑うべきです。
「Youtuberがオススメしてたから」
とか
「塾の先生がやれって言ったから」
とか
そんなのは理由になりません。
勉強は学習者の実感が全てです。
オススメなのは、少し勉強してすぐに過去問で成果を試してみることです。
過去問も1問だけならたいして時間はかかりません。
数学の確率を勉強したなら確率の問題だけを。
社会の地形図を勉強したなら地形図の問題だけを。
理科の天体を勉強したなら天体の問題だけを解きます。
勉強前より正答できているなら、今やっている勉強に効果があると確認できます。
目的意識と、こまめな確認。
これも意識しましょう。
数える
受験では満点は必要ありません。合格点が取れれば十分です。
試験時間は有限です。いくら解く力があっても50分に収まらないと意味がありません。
試験までの残り時間も有限です。今の時点であと約2週間です。
こういった「数字」をはっきりと意識し、ちゃんと計算しましょう。
・合格に何点欲しいか?
・今何点取れているか?
・あと何点追加したいか?
・追加分が解けるようになったとして、制限時間に間に合うか?
・勉強すべき単元は全部でいくつかるか?
・試験まであと何日か?
・1日〇時間勉強するとして、試験まであと何時間勉強できるか?
こういった数字を意識して、やるべき勉強に、今持っている残り時間を割り当てていきます。
プランが完璧でも間に合わなければ意味がありません。
そして「間に合わせる」は気合いで達成するのもではありません。
計算で、必然として達成するものです。
「あと3日しかないけど、数学の勉強に10日かかりそうだ。でもやるしかないからできる限りのことをしよう」
こういう思考の人は上手くいきません。
あと3日しかないなら、あと3日で終わらせる方法を見つけるのです。
勉強する内容をさらに絞るのか、方法を工夫するのか、あるいはそもそも数学ではなく他の科目で点を補う方法を考えるのか。
どんな手段を使ってでも最後の帳尻は合わせる。
こういう意識が必要です。
手段の目的化でも書いた通り、方法に固執せず、目的だけを意識して下さい。
おまけ
「東大に合格することは、僕にとってコンビニにお茶買いに行く程度の難易度だ」
16歳で東大に合格したカリスさんがYoutubeで語っていたセリフです。
自分の知力を誇っているようにも見えますが、僕は違う意図(というか、感覚)があるのではないかと思っています。
それは
「結局、必要な準備をするかどうかだ」
ということ。
コンビニでお茶を買うなら200円持っていれば十分です。1万円札は必要ありません。
近くのコンビニならスウェットにダウンで十分でしょう。オシャレな服も必要ありません。
逆に、お金を一円も持たずに行ってもお茶は買えません。
コンビニの場所もイメージせず、適当に練り歩くだけでコンビニ着いたりは普通しません。
「コンビニでお茶を買う」
という行為も、必要なものは用意し、不必要なものは用意しない、という感覚を使っています。
東大入試だって同じではないかという話です。
そこで必要とされる学力はある程度決まっています。
いくら東大が難しいからって、大学で習うような知識が出題されるわけではありません。
ここまでが必要、これ以上は不必要、というラインは必ずあります。
その「必要な学力」を用意することができれば、誰だって東大には受かる。そういうものです。
大事なのは
「必要なものはなにか?」
をその目で見極め、ひとつずつ着実にカバンに入れていくことです。
学校の先生も、塾の先生も、Youtuberも、方法論を語ることはできます。
しかし、それはあくまで自分の頭で本番をシミュレーションし、自分の目で必要なものを見極め
「じゃあどうすればこの力はつくだろう?」
という段階になってようやく活きるものです。
本番ギリギリまで、思考停止に陥らず、常に頭を回し続けて下さいね。