これから受験勉強を頑張る人に、
あるいは既に頑張っている人に向けて、
「とりあえずこれだけは理解しといて!」
という内容をまとめました。

絶対にカリキュラム通りには進まない

多くの塾では「合格までのカリキュラム」的なものを組みます。
ネットを探しても「まずはこの本を勉強しましょう。それと同時にこれ。次はこれ」みたいな感じで、言う通りにやったら合格できそうな感じの情報が溢れています。

確かにその通りにやって合格した人がいるのでしょう。
ですが、残念ながらほとんどの人はカリキュラム通りには進みません。
カリキュラムから予想されるような偏差値の上がり方はしません。

それが普通です。

それでいいんです。

大事なのは常に自分の状況を把握し、目標までにつけるべき力を考え、そのための勉強をすることです。

カリキュラムを絶対視して自己分析を怠ってしまっては意味がないし、
たとえカリキュラム通りじゃなくても、自分がつけるべき力を入試日までつけられたら勝ちです。

人によって最適なやり方は違う

少し内容が重複しますが、ネット上にある「合格ルート」みたいなものはあくまで目安にしましょう。

普通に考えて、人それぞれ受験勉強を開始した時点での学力は違います。
暮らしている環境も、これまでの学習経歴も、得意不得意も、思考のクセも違います。

スタート時点で違うことだらけなんだから、1つのカリキュラムで伸びる人と伸びない人がいるのは当然です。

だから結局は己と向き合うしかありません。
己と、過去問ですね。

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
です。

受験生は不安です。
「本当にこのままで合格できるのか?」
という不安は常につきまとうでしょう。

その不安に飲まれると
「自分が必要だと考えているもの」
よりも
「誰かが必要だと言っているもの」
の方を頑張りたくなってしまいます。

他人のレールで頑張ることで、自分の不安を預けたくなってしまいます。

もちろん先輩や先生の意見は参考にすると良いでしょう。
SNSにもすごく貴重な情報がたくさんあります。
一旦鵜呑みにしてやってみるのも大事なことだったりします。

でも結局、最適は人によって違うんです。
だから自分で試行錯誤して、見つけなければいけません。

かっこいい言葉で自己調整学習と言います。
受かる生徒は自己調整学習ができています。

常に自分と目標を分析する視点は忘れないで。

周りの意見に素直に耳を傾けながらも、自分主体でいることを忘れないで下さい。

3つのタームに分ける

ここからは少し実践的に。

受験勉強スタート時点から入試本番までを3つのターム(期間)に分けると学習プランを考えやすくなります。

受験勉強となれば基本的には各科目を一から勉強することが多いと思います。
定期テストで勉強したことがあっても、忘れてしまってますからね。

で、どの科目も基本事項が頭に入っていなければ話になりません。

英語なら最低限の単語と文法が、数学なら公式と解法が、日本史ならザックリとした時代の流れがないと、問題を解くにも至りません。

そこで受験勉強を

基礎ターム:基礎事項をインプットする
演習ターム:問題演習でアウトプットする
調整ターム:過去問演習で弱点を把握し、潰す

という具合に時期で分けるとわかりやすくなります。
だいたいの目安ですが

基礎ターム:夏休みまで
演習ターム:夏休みから10月末まで
調整ターム:11月~本番まで

ぐらいのイメージです。
(あくまで目安。得意不得意や受験勉強の開始時期によって全然変わります)

教科によってズレが出ても構いません。
英語は得意だから早めに演習タームに入り、数学は苦手だから基礎タームを多くとるとか。

基礎タームは質より量

ウチは学習法の塾なので、勉強の質を何より大事にしています。

基本的に受験は時間との戦いです。

どれだけ上質な授業、参考書で勉強するとしても、それらを入試日までに理解し、記憶し、使いこなせるレベルまで昇華させなければアウト。
だから「1時間あたりにどれだけ成長できたか」という勉強の質がとにかく重要になります。

とはいえ

苦手科目は特に、最初から質を求めようとしても上手くいきません。
そもそもその教科の勝手がわかってないのだから、よほど勉強のセンスがある人でない限りは最初から質の高い学習はできません。

だから最初は量にこだわって下さい。

1時間よりも2時間。2時間よりも3時間。
1周よりも2周。2周よりも3周。

「まだ理解できてない。まだ覚えきれてない」
と思っても

「まぁ、もう1周やればいいか」
という感覚でいましょう。

※ウチの塾生にはさすがに最低限の質は確保するためのアドバイスはします。

演習タームは量より質

演習タームは主に夏休み~秋。
夏休みは多くの受験生が長時間勉強します。
一説には1日10時間とかもざらだとか。

でも、意外と夏休みの勉強で実力が伸びない生徒が多いんです。

その原因の1つが「勉強の質を高める意識が足りないから」です。

時間の多く取れる夏休みにたくさん問題を解く生徒が多いですが、問題を解く演習タームは基礎タームとは意味合いが違います。

基礎タームはやること全てが理解必須・暗記必須の重要事項です。
とにかく目に映る全てを理解し、覚えるという意識でOK。

でも演習は別です。

大学受験の問題のバリエーションなんて星の数ほどあります。
それら全てを網羅するなんて絶対無理。

確かに問題集には問題と解説が載っています。
でも、その目に映るものを学ぶタームでは既にありません。

そのやり方では1問学んだ時にその1問しか解けるようになりません

この世の全ての問題を入試までに解き切ることは不可能

ということを前提に

1問を学ぶことで10問、100問解けるようになる勉強
を目指す必要があります。

そのためには

「この問題から何を学ぶべきだろう?」
「なぜ自分は解けなかったんだろう?」
「どんな知識が足りなかったのか?」
「どうすればこの発想を自力で思いつけるのか?」
「この問題のついでに関連知識も整理しておいた方がいい?」
…etc

こんな感じで「その問題を通して自分が学ぶべきこと」を考えながら勉強することです。

英語・数学といった科目の内容自体を考える頭とは別に、学習法について考える頭を用意しなければいけません。

ちなみに中学レベル、高校受験までならこんな面倒なことを考えなくても問題を解きまくって目に映る全てをインプットする意識で何とかなったりします。

それは高校受験の出題範囲と問題バリエーションが、大学受験に比べて圧倒的に少ないからです。

高校受験と同じノリで勉強すると痛い目を見るので注意しましょう!

調整タームは分析が命

受験生は「慣れる」という言葉を使いがちです。
まぁ指導者も結構「慣れる」という言葉を使うので、こちらも反省しなくてはいけません。

「慣れる」は受験勉強において、実はけっこう危険な言葉です。

なぜ危険かって、曖昧すぎるからです。

「慣れる」って何?どういう現象?
「慣れる」って何に???

「慣れる」が最も頻発されるのが過去問演習です。

過去問をたくさん解いて慣れましょう

なんだかそれっぽく聞こえます。
それっぽいので、受験生の中には

「たくさん解けば慣れるんだ」
=「たくさん解けば点数が上がるんだ」

と思ってただ過去問を解くだけの勉強をしてしまう人がいます。

「2021年度は55点か!くそー。合格ラインより-15点かー。よし次は2020年度だ!」

みたいな感じです。

でも、当たり前の話ですが、過去問を解いて合格ラインの-15点だったのなら、15点分の知識(or理解・思考・技術)が足りてないということ。

それを補強せず、ましてそれを分析して見つけることさえせず、何回過去問を解いても似たような点数を取るだけです。

(ちなみに、難易度ブレと相性の問題で10点ぐらいは点数が変動します。それは「運」なんですが、そこに一喜一憂してしまう受験生も多いです)

過去問を解く調整タームでは
「なぜ自分はこの点数になったのか?」
「何を自分に加えれば、どこの点数が伸びるのか?」
「それは知識なのか、理解なのか、思考なのか、あるいはそれらを運用する技術なのか?」

こういったことを分析することが重要です。

<ちなみに>

僕は「過去問を解いて慣れる」を否定するつもりはありません。
確かに過去問を繰り返し解くことで成長する部分もあります。

例えば出題傾向と適性な時間配分を把握できるということ。

「このテストは大問6つの構成。大問1はこんな内容で、10分で解ければ上々。大問2は…」
みたいなことが頭に入っていれば、確かに点数は取りやすくなります。
(これは実力がついたというより、実力が点数に反映されやすくなったということ)

他にも効用はありますが、
「慣れ」を求めるなら、「慣れ」の正体をこれぐらい具体化しておくべきです。

ゲームでモンスターを倒して経験値を貯めるみたいに、練習をし続ければ何か勝手に力がつく、なんていうのは、受験勉強の序盤(基礎ターム)だけの話です。

そこから先の受験勉強はもっと具体的で現実的です。

もちろん塾で勉強する限りは一緒に分析もするし、アドバイスもするので心配いらないんですが、自習の時には要注意!
ただ解くだけの勉強にならないように意識して下さいね!