英単語の暗記は多くの生徒が悩みを抱えるところです。

これは「根気」でなんとかするしかない部分も多いのですが、中には根気はあるのに圧倒的に不利な覚え方で学習しているせいで学習効果が薄い生徒もいます。

今回は英単語の覚え方を整理しました。

具体的な学習法を4つと、学習する上での注意点を3つ、そして英単語を学習する上での心構えを2つまとめています。

塾生の人はどんな勉強法が合っているか気軽に相談して下さい。

英単語の学習法4つ

「音」を中心にした覚え方

どんな生徒も基本にして欲しいのは「音」を中心にした覚え方です。

Happy – 幸福な

と覚えるのではなく

Happy – ハッピー – 幸福な

と「音」を間に挟む形で覚えていきます。

具体的には

①英語を見て発音した後に、意味を言う

②日本語を見て英語で発音したあと、それを綴る

という2種類の練習を繰り返します。

これは感覚的にもわかりやすいのですが、人間は耳からの情報は結構覚えられます。

流行の曲が意識しなくても口ずさめるようになっていたり、コンビニの入店音が耳に残っていたり。

逆に目からの情報は覚えられない人が多いです。

学校の教室の窓ガラスは何枚か?

家のドアのドアノブは何色か?

意外と答えに詰まってしまうのではないでしょうか?

英単語の勉強をしている時に、真っ先に入ってくるのは目からの情報です。

本に書かれている「文字」という情報が目から入ってきます。

それを「音」という耳からの情報に変換してあげることで、より覚えやすい状態にすることができます。

発音できない単語は覚えられない

これはこれから紹介する他の学習法を採った場合も同じです。

まずは英単語を「音」に変換し、音情報に意味やつづりを紐づけていくような覚え方を習得するのがオススメです。

フォニックスを学ぶ

英単語を覚える時に

「なぜローマ字と同じじゃないんだ」

と誰しもが思ったでしょう。

ローマ字のルールで綴って良いのなら、英単語を覚える負担は激減します。

これは

タ→ta

ム→mu

というふうに

「この音はこういうルールで文字にしますよ」

というルールを把握しているからです。

ですが残念ながら英語はローマ字のルールでは綴られません。

ただ、全くルールが存在しないわけでもありません。

フォニックスという学習法があります。

これは英語の発音とつづりの関係性を学ぶという方法です。

英語に習熟した人はフォニックスを学習していなくても経験的に

「この発音なら、こんな感じで綴るんだろうな」

と予測できます。

しかし、この予測が高い精度でできるようになるためにはかなりの経験が必要です。

フォニックスを学ぶことで

「この音は、こう綴る」

というルールを体系立てて学ぶことができます。
この状態になってしまえば、新しい単語は「音」さえ覚えればだいたい書けます。
英単語学習の負担が一気に激減します。

フォニックスを学ぶ上でオススメの教材は

CD BOOK フォニックストレーニングBOOK (アスカカルチャー) | ジュミック今井 |本 | 通販 | Amazon

こちら。

また、厳密にはフォニックスではありませんが、発音とつづりの関係性を学ぶという意味では

中学英語らくらく学習王国 入門編 | 吉井淳一 |本 | 通販 | Amazon

こちらもオススメ。小6~中1向けのテキストですが、中学レベルの英語が壊滅的にできないぐらい苦手な人はどんな学年でもやってみる価値はあります。

(どちらも教室にも見本を置いてあります。)

語源に注目する

中3~高校生ぐらいになると、語源や接尾辞・接頭辞に注目するという目線も手に入れたいところです。

例えばincredibleという英単語を覚える時は

in→否定の意味

cred→「信じる」(クレジットカードと同じ語源

ible→「~できる」(ableと同じ)

というふうに英単語をパーツに分解して、パーツごとの意味を組み合わせていきます。

もちろん英語を読む時にこんなことを考えていては試験時間がいくらあっても足りないので、結局は

incredible ⇒ インクレディブル ⇒ 信じられない

という回路を頭に作る必要がありますが、各パーツの意味に着目することで納得感を持って覚えることができ、記憶が定着しやすくなったり、未知の単語の意味を推測する力が高まったりします。

こういった学習法をするなら

英単語の語源図鑑 | 清水 建二, すずき ひろし, 本間 昭文 |本 | 通販 | Amazon

システム英単語Premium(語源編) | 霜 康司, 刀祢 雅彦 |本 | 通販 | Amazon

このあたりがオススメです。

特にシステム英単語は大学受験の定番シリーズなので受験との相性も◎です。

読解の中で覚える

一問一答的な単語帳が苦手な人は読解の中で覚えるのも一つの方法です。

英文読解の勉強をする中で出てきた単語を覚えていきます。

具体的には

①100~200語程度の英文を使って

②英文の意味をじっくり読んで理解し(和訳を参照してもOK)

③英文を何度も音読する

という手順です。

こういう覚え方をするために作られた単語帳もあって

英文で覚える 英単語ターゲットR 英単語ターゲット1900レベル 改訂版 (大学JUKEN新書) | 宇佐美光昭 |本 | 通販 | Amazon

【音声無料】速読英単語 必修編[改訂第7版増補版] (2022年3月 増補版発刊!) | 風早 寛 |本 | 通販 | Amazon

こういったものが代表例です。特に速読英単語シリーズはこの文脈で覚えるというコンセプトを長く追及してきたシリーズで、中学版・高校入門版・上級版などレベルも豊富です。

普通の単語学習に比べて手間はかかりますが、文脈の中で覚えた方が記憶しやすく、何より同時に読解力も鍛えることができるので一石二鳥です。
上に挙げた単語帳は音声も無料で聞けるので、リスニング力を上げることにも貢献します。

また普通の(ターゲット1900のような)一問一答式の単語帳と併用するのも効果的で、これは一部の進学校では積極的に採用されている方法でもあります。

人間は同じ情報に2つのシチュエーションで出会うと「これは重要な情報だ」と脳が判断して記憶しやすくなります。

例えば会社の同僚にオススメされた飲食店を、後日、全く別の友人からオススメされた場合などです。

こういった現象を意図的に起こすのが一問一答式と文脈式の併用です。

一問一答式で覚えた単語に文脈式の読解の中で出会うことになるため、その単語の記憶がより強固なものにになります。

少し大変ですが、短期間で一気に単語力をつけたい人には有効です。

英単語学習の注意点3つ

ここからはどんな学習法を選んでも守って欲しい注意点のお話です。

「覚えきる」学習をする

その日に学習した英単語は、少なくともその日は満点を取れるようにしましょう。

赤シートで隠すなり、紙で覆うなり、アプリを使うなりしてテストをします。

そこで満点が取れることがその日の学習完了の合図です。

これは「覚えたつもり」を防ぐためです。

単語帳を見ながら英単語を覚えていると、どうしても覚えたつもりになってしまいます。

常に目の前に答えがある状態ですから、自分の中で見て答えているのか、記憶から引き出して答えているのか区別がつかなくなってしまいます。

もしその日にテストをして答えられないなら、それは記憶に残っていない、つまり記憶に失敗しているということです。

よく生徒から

「英単語帳は何周すればいいですか?」

「復習はどれくらいのスパンでやれば良いですか?」

といった質問を受けますが、これらは少なくともその日は記憶に成功しているということが大前提の質問で、そもそも記憶に失敗しているなら何周しても覚えられません。

覚えたつもりを避ける

これは英単語に限らず全ての勉強に通じるポイントです。

即答を原則にする

テストをする場合は即答を原則にしましょう。

「えーっと……、なんだっけ……、あぁそうだ!」

みたいに時間をかけてしまっている場合、記憶が不完全です。

実際の試験の時にはそんな余裕はありませんし、何より記憶がすぐ抜けてしまいます。

特に

英語 ⇒ 音 ⇒ 日本語

という順番で記憶を引き出す時は2秒以内に答えられないものは「不完全」だと認識しておきましょう。

個数と復習スパンは個人で模索する

「一日に何個覚えれば良いか?」

「復習はどれくらいのスパンでするか?」

これらは個人差が大きい問題です。自分で色んな条件で学習して実験しましょう。

個数の目安は1日20~50個ですが、人によっては10個が限界だったり、100個覚えられる人もいるでしょう。もちろん多い方が得なので、自分の限界はどこかを実験してみましょう。

塾では

こんな記録用紙を使う場合もあります。

記録をつけておくことで自分に合ったラインがわかりやすくなります。

とりあえず1週間後に再テストしたら何%正答できるか?を個々人で実験してみるところから始めましょう。ここはそんなに厳密に考えなくても実は学習効率にそこまでの影響はありません。自分にとって心地よく、無理なく学習が進めていける復習スパンを見つけることが重要です。

英単語学習の心構え2つ

最後に、学習をする上での心構えです。

マインドセットなどと呼ばれることもありますが、どういったメンタリティで勉強に向き合うかが学習成果を大きく左右します。メンタルの状態は、想像以上に学習に影響を及ぼしています

効率を求めすぎない

学習法、特に英単語の学習法を求める人の中には、苦痛を感じずに大量の英単語を覚えられる魔法の杖を求めてしまっている人もいます。

残念ながらそんなものはありません。

色々な学習法を紹介しましたが、どの学習法を採ったとしてもベースにあるのは「気合と根性でどうにかするしかない」です。

どれだけ効率の良い学習法を選んだとしても継続しなければ成果は得られません。

逆に、どれだけ効率の悪い学習法を選んでも継続できれば覚えられます。

目の前のタスクに全力を注いでいる人が、それでももっと上を求めて方法を模索することは良いことです。

しかし、目の前のタスクに全力を出せない人が逃げ道を探すために方法を模索するのは完全に間違っています

覚悟を持って、腹を決めて取り組んだ方がかえって楽です。

単語力がつくほど次が覚えやすくなる

厳しいことを書きましたが、実は英単語学習には優しい側面もあります。

それは、覚えれば覚えるほどに次が覚えやすくなるということです。

記憶の中にある英単語の数が増えるほど、新しく覚える英単語との共通点が見つけやすくなります。

語源に注目した学習法で紹介したようなことが、感覚的にできるようになってきます。

だから

今日が一番大変な日です。

今日を乗り切れたら、明日は少し楽。明後日はさらに楽

例えば中学生なら300語、高校生なら600語ほど覚えたら、もう景色が違って見えるレベルです。

ある程度のレベルまで達したら、英単語を覚えることは苦でもなんでもなくなります。

そんな日が来ることを信じて、一番大変な今日を、高い意識を持って乗り切って下さいね。