今回は社会人の資格試験の勉強からご紹介します!
ウチに高校生の時に通ってくれていた元塾生で、今はたまに資格試験の勉強をしにくるのですが、そのノートをお借りしました!
良い勉強のお手本みたいなノートです。
販売士という資格で内容的にはほとんどの生徒には関係がないと思いますが、勉強のポイントはどんな科目にも活かせるものばかりです。
早速見ていきましょう。
まず見た目が美しいですね。
本人は
「記事にされるんだったらもっと綺麗に書けばよかった」
って言ってましたが、僕には十分きれいに見えますね(笑)
さて、見るからに学習の上級者っぽいノートですが、皆さんに真似して欲しいポイントが2つあります。
課題外在性負荷
最初のポイントは余白がたっぷりあるということです。
これは勉強が上手い人の典型的な特徴の一つで、ウチの生徒で言えば他にも
こういうのとか
こういうのです。
どれも書かれていることが一目で認識しやすいですよね。
人間は書かれていることを認識するというところにも意識を使っています。余白が多くて見やすいノートを書くということは、ここに割く意識の量が少なくて済むので、その分を思考に回せるというワケです。
「字を認識する」みたいな、学習内容そのものとは関係のないところに割く意識をカッコいい言い方で課題外在性負荷といいます。
この課題外在性負荷は、当たり前ですが低い方が良いです。
例えば数学で一つの問題を解いている時にノートがページをまたいでしまったとします。
前の情報を見ようと思ったらページをめくってその内容を一時的に覚え、次のページに書くという作業が必要です。これも課題外在性負荷の例で、学習が上手い人はそういう負荷を上手に避けていきます。
問題を解く時もノートのスペースを考えて
「このスペースで解き切れるか不安だな…」
と感じたらすぐに新しいページに移ってしまいます。
「もっと書けるのにもったいない」
とか思ってノートをケチって使ってしまうと、課題外在性負荷が増えてしまって逆に損をします。
課題内在性負荷
次はここに注目してみましょう。
「仕入価格↓」と書いてますね。
勉強していた本にはおそらく「仕入価格を下げる」みたいな文章で書いてあったはずです。
これを
「仕入価格↓」
と加工して書いてあります。これは
「仕入価格を下げる」
と本に書かれているままノートに書いてしまう生徒がすごく多いです。
「その差がそんなに重要なのか?」
「些細なことじゃないのか?」
と思われるかもしれません。
もちろん見た目には大きな差はありませんよね。
でもアタマの中に目を向けてみると、真逆と言ってもいいぐらいの違いがあります。
学習が下手な人が本に書かれていることをそのままノートに書いてしまうのは、その瞬間、思考や理解のスイッチがオフになってしまっているからです。
思考停止で書かれていることを写しているだけ。
アタマに負荷がかかっていないのだから、当然ながら学習効果は低くなります。
さっき課題外在性負荷は低い方が良いと書きました。
これは学習に関係のない負荷だからです。
一方で学習内容そのものからかかる負荷は課題内在性負荷といいます。
課題内在性負荷は(アタマがパンクしない限りでは)高い方がいいと言われています。
だからノートまとめの時も
「本に書いてることを一度理解し、自分がその理解を復元できるのに必要最低限の言葉だけ書こう」
という意識でやるとアタマへの負荷が上がって学習効果が高くなります。
このノートを提供してくれた生徒は、ノートを見せてくれながらこんな相談をしてくれました。
「最初は本を読むだけにしてたんですけど、ちょっと覚えられる気がしなくて…。だからこういうの書いてみてるんですけど、あってますか?」
本を読むだけだと、「読み進める」ということにだけ意識がいってアタマへの負荷が軽くなり、ついついわかったつもり・覚えたつもりになってしまうことがよくあります。
それを感覚的に察知し、アタマへの負荷を上げるためにノートをつくるという方法を採ったわけです。
上級者ですね(笑)
ちなみに僕も資格試験の勉強でパソコンに同じようなメモを作りましたし、今もガチで勉強する本なら必ず小さいノートを1冊買って書きながら勉強します。
ノートづくりというのは、それそのもので学習効果が保証されるワケではありません。
ノートをつくる過程でアタマに負荷がかかる。その負荷が学習効果になります。
(負荷が効果になるのは筋トレと同じ感覚です)
だから
・どんなノートにするのか
・つくりながら、どんなことを意識するのか
が重要になります。
塾生には実際のノートを見ながら目標や個性に合わせてアドバイスをしていますが、一応なんとなくの方針としては
手を減らし、頭を増やす
ということを意識して下さい。
「手を減らす」とは書く量を減らすということ。
自分にとって必要な最低限の文字数を狙って書くということです。
やってみるとわかりますが、そのためには本の内容をちゃんと理解し、その知識のアウトプットの仕方や、自分の記憶がどれだけ保ちそうかに目を向ける必要が出てきます。
これが「頭を増やす」つまり「アタマへの負荷を増やす」ということです。
学習技術とはスゴ技ではない
「勉強のやり方」とか「学習技術」というと、普通の人はやっていないようなスゴ技的なやり方をイメージする人も多いです。
でも実際は今回紹介したような、すごく地味で、言語化されれば当たり前だと思えるようなことをどれだけ徹底してできたかどうかです。
スポーツをやっている人はこのことが実感できると思います。
本当に上手い人というのは、常人ができないスゴ技を連発しているのではなく
誰でもできることを、誰よりも速く正確にできる人
のことです。基礎技術の高さということですね。
学習の技術も同じです。
「勉強したことをノートに整理する」
誰でもやったことがあるような基本的なところに、意識の差・技術の差が大きく表れます。
今回紹介したノートにはその技術がたくさん凝縮されていて、本当はもっとたくさん言語化したかったんですが、今回はこれぐらいで自重することにして(笑)
勉強が上手くなりたい生徒の皆さんは、このノートをひとつのお手本としてアタマへの負荷を目いっぱい高めながら勉強する方法を模索して下さいね!