ウチの塾では生徒が学習計画を立てます。
一般的には塾がカリキュラムを提示して、生徒はそれに従う形を取るので、ウチの特徴と言えるかもしれません。

この方法を採っている理由は2つあります。

一つは、

学力が高い人は計画段階から自分で主導権を持てているから

です。
カリキュラムが提示されるような塾・予備校に通っている場合でも

・提示されたカリキュラムに盲目的に従う人
・自分で考えに塾のサービスを上手に取り入れる人

に分かれます。成績が上がるのは後者です。

自分の考えを持たず、ただ管理されようとする人の成績は上がらない

これは受験における残酷な事実です。
結局、どこまでいっても勉強は自分事ですからね。

もう一つの理由は

社会に出てそれが要求されるから

です。IT技術の発達により「ただ指示を忠実にこなす人」は機械が代替できるようになってきています。最近はChatGPTに代表されるような超高性能AIも出現し、それが急加速しています。

そんな社会で必要とされる力こそが、自分で学び、考え、行動する力です。

その練習としてウチではまず生徒が学習計画を立てて、それに対して僕が欠けている情報を補いながらアドバイスしていく形を採っています。

さて、前置きが長くなりましたが、今回はそんなこんなで生徒が学習計画を立てるための第一歩としての

自己分析

に焦点を当てて、お手本になるような事例を紹介したいと思います。

こちらです。
受験に向けて「今自分はどれくらいできるのか?」を単元別に分析してもらいました。

初めてやってもらったんですが、もう僕の口出しは必要ないぐらいに良くできています。

普段から、自分の学習についてよく観察・思考・分析している人

といった感じですね。

では、この生徒のどこが素晴らしいのか、どういう点を参考にすべきなのか解説していきます!

自分の感覚を基準にする

まずはここに注目しましょう。
数学を単元別に自己評価しているわけですが、評価の仕方が豊かですね。

単に「できる」「できない」ではなく

・基本的なものはできるが応用力が足りない
・解けはするがスピードが足りない
・理解はしているが慣れていない

といった具合にきめ細かい分析をしていることがわかります。
これが素晴らしいポイントの一つ目です。

よく自己分析をする時にテストの点数を基準にする人がいます。

・この単元のテストは点数が悪かったから×
・この単元は良かったから〇

みたいな感じです。
もちろんテストの点数は参考にした方が良いですが、あくまで参考です。

テストで点が取れているところが得意とは限らないし、点が取れていないところが苦手とも限りません。
点数には中身があるのです。

ではどうするかと言うと、自分が学習している時の感触を基準にします。

・どんな問題が解け、どんな問題が解けていないのか
・スピードは十分か
・自分でぎこちなさを感じるか

などです。学習中に感じることを基準にした方が、より良い分析ができます。
この生徒はそれができている、ということですね。

苦手ほど細分化する

もう一つのポイントがこちらです。

数学では単元ごとに評価していたのに対して、理科や社会ではそれをさらに細分化して評価しています。

分析をするときに、どこまで細かく分解するかは難しい問題です。

「数学が得意だ」

よりも

「計算は得意だ」
「確率は得意だ」
「図形は得意だ」

と表現した方が正確ですし、

「正負の数の計算は得意だ」
「方程式の計算は得意だ」
「平方根の計算は得意だ」

まで細分化するとさらに正確です。

これはキリがない話で、

分析をする時にどこまで細分化して評価するのか?

に正解はありません。

強いて言うなら状況に応じて変えるが正解です。

そしてこの生徒はそれができています。
詳しく言えば

・自信がある単元についてはそのまま評価する
・自信がない単元についてはさらに細分化して評価する

ということを感覚的にやっています。

再掲しますが、それがわかりやすいのが社会です。
世界地理については「世界地理」という単元名のまま評価しているのに対し、日本の歴史については細分化して時代単位にし、さらに人物・文化etcといった項目まで用意しています。

こういった分析の技術は普段は指導した上でやってもらうことが多いんですが、何も教えていないのにできてしまうのはすごいですね。

評価は間違っていい

最後に重要なポイントです。

これらの自己評価は間違っていて構いません

そのために模試があるし、過去問があるんです。

よく模試や過去問をやる人は良いスコアを出すということを意識しすぎてしまいます。

でも、模試でA判定が出たから合格なわけでもないし、過去問で点数を取れたから受かるわけでもないんです。それらを志望校に送りつけるわけじゃないので。

模試や過去問をやる目的は、自己評価や努力の仕方が正しいかの答え合わせをすることです。

自己評価ではこの単元はできると思っていた。
でも模試を受けてみると全然歯が立たなくて、点数が取れなかった。

これでいいんです。
その判断のまま本番を迎えていたら大惨事になっていたところを、修正できるわけですから。

そしてその修正によって、自己評価や努力の仕方はさらに正確なものになります。

その精度を上げ続ければ、本番でも想定通りの点数が取れます。

本番で点を取る

これが唯一にして最大の目標です。
全てはそのための準備です。

自己分析に自信がない人は、今回紹介した生徒の事例を参考に、まずは間違っても良いので自己分析をしてみて下さい。
そして模試や過去問(定期テスト対策なら予想問題など)を解く中で修正を繰り返すというクセをつけましょう。

そういった努力の仕方は社会に出てから大きな武器になります。

失敗を恐れずどんどんチャレンジして下さいね!