ウチは生徒が自由に勉強する塾なので、何やらみんなが自分なりの勉強法を模索し、開発してたりします。
それをご紹介していきたいのですが、くれぐれもご注意頂きたいのは
・その学習法に行き着くまでの思考プロセスが素晴らしいということ
です。
ウチの指導は生徒が自ら考え、学び、行動する力を養うためのもの。そして受験勉強は生徒自身が主体性を持って試行錯誤できるかが本当に大きなポイントになります。
自立した受験生がどれだけ考えて学習しているかが伝われば嬉しいです。
これから受験を迎える人は、学習法そのものよりも、その思考プロセスを参考にして欲しいと思います。
私立受験を目前にした高3の塾生の本です。
使っているのは
日本史一問一答【完全版】2nd edition (東進ブックス 大学受験 一問一答シリーズ) | 金谷 俊一郎 |本 | 通販 | Amazon
こちらですね。
学習手順
①全ての問題を自力で解いてみる
②正答できたものにはチェックをつける
③誤答したものは覚えて再テスト
④正答できたら「正」の字の1画を書く
⑤5回正答したら「正」の字が完成。その時点でその用語は学習完了とする
という流れだそうです。
なぜこの学習法なのか?
ここが重要なポイントです。
良い学習をするには大きく分けて3つのポイントがあるんですが、この塾生の勉強はその全てをちゃんと抑えられています。
①課題の分析
これは自分が受ける試験と勉強する教材の性質をよく分析・理解しているかということ。
今回の学習は某難関私立大のための勉強で、その大学の試験では
・けっこうマニアックな用語まで出題される
・他の試験では出題率が低い「古代」の範囲が出る
という傾向があり、それを受けて一問一答式問題集での学習を選んでいます。
学習範囲は古代に絞り、その分反復回数を増やしているのも試験の性質にマッチしています。
②自分の分析
2つ目のポイントは自分の分析です。
・自分は今どんな知識をどれくらい持っているのか?
・それは試験でどの程度通用するのか?
・学習するとしたらどれくらいのペースでどこまでの精度で覚えられそうか?
などなど。普段から自分のことをしっかり観察しながら勉強している人はこれができます。
逆に、指導者に指示されたことに盲目的に従ってしまうタイプの生徒はこれが極端に苦手です。
今回の生徒は
・これまで共通テスト対策をメインでやってきたことで、用語量よりも歴史の流れや背景の理解に特化していること
・過去問を解いた感触的に今の用語レベルでも通用する出題もあるということ
・古代が明確な弱点であり、古代に絞れば試験までに学習は完了できそうだということ
などを自分の状態や感覚と照らし合わせて決めています。
③理に適った学習法
最後のポイントは、①②を踏まえた上で理に適った学習法であるということです。
人間は深く理解したり、ストーリー性や納得感がある記憶は1回の勉強でかなり覚えられます。
日本史は暗記科目だとよく言われますがこれは誤解で、日本史が得意な生徒は日本史を一連のストーリーとして深く理解しています。だから大量の用語を覚えられるわけです。
これを狙うのが日本史学習の王道で、この生徒も日本史が得意なのですが、実際に共通テストまでは理解を重視した勉強をしていました。
しかし、こういう勉強をするには十分な時間をかけて、参考書を読み込んだり動画を見たりして理解をつくっていく必要があります。
今回は
短期間で大量の語句を(一時的で良いので)覚える
が目標なので、この勉強法は適していません。
そこであえて今回は背景やストーリーの理解は捨てて、一問一答式で単調な記憶作業に切り替えたのでしょう。
単調な記憶作業は反復回数が必要なので5回正答を合格ラインに設定しています。
これだけ繰り返せば確かに入試日まで記憶は持つでしょう。おそらく3ヶ月もすればほとんどの語句は抜けてしまうと思いますが、それは承知の上でこの勉強法を選択しているはずです。
こういった学習法に対する理解度は、学習効果に影響します。
例えばこの生徒は
「この学習法なら1問にあまり時間をかけても仕方ないから、テンポよく進めて回数を稼ごう」
という意識で勉強しているはずです。
僕がよく言う勉強している時のアタマの中というやつです。
まとめ
まとめると
・受験校はマニアックな用語も出る
・自分が手薄にしていた古代が出る
・その他の単元と比較して古代を対策するのがコスパが良い
・自分はこれまで理解重視の勉強をしていた
・理解重視の勉強は短期間大量暗記に適さない
こういったことを考えて
・一問一答式の問題集を反復しまくる
・一問に時間を掛けすぎず、テンポよく回数を稼ぐ
という勉強法を選択しています。
結論として選んだ勉強法はある意味でよくある方法です。
ですがここまでのことを自分で考えて決定できるからこそ、学習している時のアタマの中が正しいものになります。
これは社会で良く言われる
・課題発見能力
・課題解決能力
にも直結します。受験を受験のための受験にしない。
自分のキャリアを切り拓く力をつけるための受験にする。
結果的に、その方が偏差値も上がる。
これから受験に臨む人は、こういう頑張り方をお手本にして欲しいと思います。