自己効力感とは?
自己効力感は当会が最も力を入れているところです。
これはバンデューラという人が提唱した概念で
「達成をもたらすような一連の行動を計画し、実行する能力に対する信念」
を指します。
ちょっと難しいですね。
めちゃくちゃ簡単に言えば、何か達成したいこと(受験でも、資格試験でも、新しい仕事でも)に対して
「自分ならやれるだろう」
と思える感覚のことです。
これぐらいの理解でも十分と言えば十分なのですが、今回はもう少し細かく見てみます。
バンデューラの定義にある
「行動を計画し、実行する能力に対する自信」
というところに注目しましょう。
何か達成したことに対して
・どんな努力をすればそれが達成できるのか、見通しを立てられる
と感じること。そして
・自分はその努力に耐えられるだろう
と感じることです。
このことが後ほど重要になりますので、よく覚えておいて下さい。
自己効力感はこれからの社会で必要
僕は学力や学歴以上にこの力はこれからの社会ですごく重要だと考えています。
(だからこそウチで重視して取り組んでいるのですが…)
例えば最近ウチでも社会人の資格試験サポートを始めましたが、これからの変化の激しい社会では最初に就いた仕事をずっと続ける方がむしろ稀だと思います。
(今の時点でも僕は自分の同級生で転職をしたことがない人を探す方が難しくなっています)
自分の生活やキャリアに不満を感じたり、「もっとこうしたい」という気持ちを持った時に、自己効力感が高ければ新しい何かを学ぶことに抵抗がありません。
「頑張れば、多分できるだろう」
という感覚でいれます。
それはチャレンジ精神や主体性にも繋がり、自分の人生を自分の力で切り拓いていく源になります。
では、ここからは
自己効力感はどうすれば高められるのか?
を紹介し
最後に少しだけ、それに関連して、僕がこの塾をつくった思いの部分を書いてみようかと思います。
自己効力感の高め方
自己効力感を高めるポイントを、今回は4つに分けて紹介します。
・成功体験
・疑似体験
・声掛け
・原因帰属
の4つです。
成功体験
「自信をつけるために成功体験が大事」
というのはよく言われることです。
これを大切にしている指導者や保護者の方も多いと思います。
ただ、実は成功体験なら何でも良いというわけでもありません。
例えば中学受験では厳しい勉強の末に志望校に合格した後、燃え尽き症候群のように努力を辞めてしまう生徒も少なくありません。
志望校に合格したのだから紛れもなく成功体験です。それなら自分の力に自信を持ち、その後の勉強へのモチベーションが上がるのが自然に感じられますが、そうならないのはなぜでしょうか?
これは「他者によってもたらされた成功」だからです。
自己効力感とは
「何かを達成するための行動を計画し、実行する能力に対する自信」
でした。
塾が出す大量の課題を、意図もわからないままに消化する。
大人による強制と監視と管理によって努力する。
こういう頑張り方で仮に「成功」と呼ばれる結果を手にしたとして、バンデューラが主張する自信を手に入れることができるでしょうか?
本当に必要なのはただの成功体験ではなく、
目標を達成するために
・どんなプロセスを踏めば良いか(計画)
・どんな方法で努力すれば良いか(方略)
を自分で考える力があること。そして
・その計画に自分を従わせる(セルフコントロール)
この3つが伴っている必要があります。
この3つがあれば、たとえ努力の対象が変わっても、同じように成功までの道筋を描いて努力することができます。つまり成功を再現できるわけです。
僕はこれを再現性のある成功体験と呼んでいます。
ただの成功体験ではなく、再現性のある成功体験。
これが自己効力感を高めるポイントの1つ目です。
疑似体験
2つ目は成功を疑似体験することです。
(実は「代理経験」という言葉が使われることの方が多いです)
例えば偉人の伝記を読んだり、スポーツ選手のドキュメンタリー番組を見たり。
仕事では先輩や上司が契約を取ったりプロジェクトを成功させている姿を間近で見たりなどもこれに当たります。
他者に自分を重ねることで、自分の成功ではなくても自己効力感を高めることができます。
この成功にもやはり再現性が重要になるので、
どういう努力(プロセス)によって成功したのか
がわかるぐらい身近で見るか、詳しく取材された本や番組の方が良いでしょう。
また、自分の憧れの人みたいな存在は多く作っておいた方が良いです。
ロールモデルと呼ばれたりもしますが、生き方・努力の仕方のお手本になるような人を見つけることは自己効力感を高める大きな助けになります。
声掛け
こちらもカッコいい言い方で言語的説得と呼ばれることが多いです。
でも単純に声掛けです。
「君ならできるよ!」
というポジティブな言葉をたくさん掛けてもらう中で自己効力感が育っていきます。
原因帰属
ちょっと難しい言葉ですが
「成功や失敗の原因をどこに求めるか?」
という意味です。
例えばテストの点数が悪かった時に
「習っていないところが出た」
「先生の授業がわかりにくいから」
みたいに、自分の外側(他人や環境)に原因を求めることを外因帰属と言ったりします。
反対に
「勉強不足だった」
「勉強のやり方が良くなかった」
など、自分に原因を求めることを内因帰属といいます。
もう少し身近な言葉では「他責」と「自責」です。
解説する必要もないと思いますが、何か上手くいかないことがあった時に他人や環境のせいにする人は自己効力感が育ちにくいです。
これら4つが自己効力感を高める代表的な方法です。
文章量からもおわかり頂けると思いますが、僕が特にこだわりを持っているのは
再現性のある成功体験
のところで、これに関して少しだけ、僕がこの塾をつくった思いの部分を綴ってみようと思います。
アカデミーの思い
僕は受験指導を専門にしていますが、偏差値や学歴が高いことに特に価値は感じていません。
大事なのは高い目標を目指す中で自ら試行錯誤し、その結果として自己効力感を高めることです。
学歴がお守りとして身を助けてくれる時代は既に終わりました。
もう少しすればAIが学歴よりもよっぽど高精度にその人のポテンシャルを測り、ジャッジする時代が来ると思います。
だからこそ、受験を受験のための受験にするのではなく
・計画
・方略(勉強のやり方)
・セルフコントロール
を磨く場として使うことが重要です。
そのためにウチは「学習法の専門塾」であることにこだわり、学習計画も生徒主体で立てる仕組みにしています。
自分主体で立てた計画に対して、テスト結果も自分で分析し、どこが上手くいって、どこが上手くいかなかったのか?それはなぜなのかを考える。
(そのために計画表や分析シートなどは色んな種類をオリジナルで作成し、改良を重ねています)
そこに専門家として時には各教科のことを、時には記憶や理解の理論のことを、時には受験戦略のことを伝えることで
どうすれば、上手くいくのか。
それは、なぜなのか。
を生徒たちに体得していって欲しいと思っています。
それこそが僕が指導者として生徒たちに提供できる再現性のある成功体験であり、
「ほとんどの大人が解けない問題」
を
「解けるべき」
として生徒に課すというワケのわからない教育体制をつくってしまったこの業界に生きる人間としての責任じゃないかと思っています。
さて、少し思いのたけを書いてみたんですが、これは置いといて。
僕の思いがどうであれ、自己効力感がこれからの社会を生きる上で大きなポイントになることは間違いないと思います。
この非認知能力シリーズが結構重要っぽいぞということもおわかり頂けたのではないかと思います。
次回はこの記事にもちらっと登場した自制心(セルフコントロール)を扱います。