PDCAとは
計画→実行→評価→改善
の略で、元々はビジネスにおける業務改善の手法です。

このPDCAをサイクルとして回していくことで勉強の質を高めていくことができます。

今回はPDCAの中でも計画のポイントを解説します。
計画のポイントは全部で6つあります。

・目標の立て方
・課題分析
・自己分析
・優先順位
・学習メニュー
・スケジューリング

既に
目標の立て方
課題分析
自己分析

については詳しく説明したので、次は優先順位について解説していきます。

「できない」は気にするな

とりあえず自己分析までは完了しているものとして話を進めましょう。

こんな状態になってるとします。

課題分析と自己分析によって、試験に必要な単元と、それぞれの自己評価が完成しています。

自信があるものには
自信がないものには
全くわからないものには×
が振られています。

これらを基に、どの単元を優先的に勉強していくかという優先順位をつけていきましょう。

優先順位をつける上でのポイントはたった一つだけです。

×は無視する

ということ。
これが全て。

×というのは
・わからない
・苦手だ

という単元のことですね。

え?できないものを無視していいの?
苦手を放置していいの?

と不安になる人もいるでしょう。

でも、気にしないで下さい。

勉強は
△を〇にする
〇を◎にする

ということを優先する方が圧倒的に伸びます。

今回のポイントはこれだけなんですが、やっぱりこの判断は不安に感じる人もいるので

「なぜ、×を無視するべきなのか?」

の理由を2つお話します。

選択と集中

ビジネスの世界には「選択と集中」という言葉があります。

会社として使えるお金や労働力は限られています。
それらを分散させて色んなビジネスを手広くやろうとするよりも、その会社が得意としている(競争優位をつくれる)分野に絞って資本と労働力を投下した方がいいよねって話です。

これと全く同じことが勉強にも言えます。

勉強も選択と集中です。

限りある勉強時間を何にあてるのか?

それは、勉強したことの効果が高く出るものであるべきです。

×を〇に変える労力は大変なものです。
△を〇に変えるほうがよほどラク。
〇を◎に変えるのはもっとラクです。

でも、テストに出たら1点は1点。1問は1問です。
苦手な単元を頑張って攻略したから「頑張ったね」って余分に点がもらえるなんてことはありません。

だったら、少ない労力で点数に変わる単元を選ぶ方が合理的なんです。

これが理由の一つ目。

×はなぜ×なのか?

上に書いた一つ目の理由は、あくまでテストを点取りゲームと見なした時の考え方です。
これも一つの考え方ではありますが、やっぱり

・苦手は苦手なままにしておいていいの?
・応用問題も練習していないと入試で困るのでは?

みたいなことを感じる方もいるかもしれません。
要は

×を避けていて学力はつくの?

ということですね。

でも、学力をつけるという観点で考えてもやはりまずは
△→〇
〇→◎

を優先すべきです。

なぜなら、×がついたものを理解するためには、その前段階の単元で◎か、最低でも〇は必要だからです。

これは生徒によく言っていることですが「わからない」と感じる問題があったとしたら、原因はその問題自体ではなく、それ以前の問題の理解度や完成度が不十分であることがほとんどです。

良い学習とは?

日本の教育は長きにわたって

苦手なものを克服するために苦痛に耐えながら努力する

ことを礼賛しすぎたように思います。

割り算の筆算ができない生徒に
「君は割り算の筆算ができていないから特訓してきなさい」
と言って割り算の筆算のプリントを渡す。

なんだか自然なことに感じる人もいるかもしれません。
実際にそういう指導をしてしまう指導者が多くいるのも事実です。

もちろんそれが妥当な状況もあるし、苦手にトライする姿勢が欠けているせいで伸び悩む生徒も確かにいます。

ですが、ほとんどの場合は
苦手なものを克服するために苦痛に耐える
という努力の仕方は良い結果を生みません。

割り算の筆算ができない生徒はたいてい掛け算が遅いんです。
特に2桁×1桁を暗算でさっとできないケースが多い。
割り算の計算で商を立てるときには何パターンかの掛け算を試す必要があります。
それができないからつまづいているのであって、本来渡すべきプリントは掛け算の問題なんです。
(「暗算で計算できるように練習してね」という一言を添えて)

その生徒は掛け算のプリントに正解することはできます
だから学習自体は比較的スムーズに進むし、誰かに何かを教えてもらう必要もありません。
そこまで強い苦痛を感じることはなく、勉強を進めることができます。
これが適切な勉強をしている状態です。

でも、だからこそ、この「正解している」が「できている」と混同され

「この分野はもうできてるよね。じゃあ次に行こうか」

という具合に中途半端な完成度で飛ばされてしまい、結局先のつまづきに繋がってしまうのです。

これは一例ですが、勉強におけるづまづきというのは大抵このように明確な原因があるし、その原因は

正解はできている

を根拠に次に進んでしまうことです。

適切な優先順位をつける

まとめましょう。

ここまで見てきた通り、適切な優先順位とは

・△を〇にする勉強
・〇を◎にする勉強

です。
×は一旦放置です。

×を放置する理由は

・勉強のコスパが悪いから
・×の手前の完成度の低さが根本原因だから

です。

勉強というのは眉間に皺を寄せて苦痛に耐えながらやれば、その痛みの分だけ成長できるみたいなものではありません。
良い勉強というのは適切な負荷がかかるもので、ある程度のテンポ・スピードを持って自力で進められる勉強のことです。

×が気になって仕方ない

という人は、まずは勉強に対する認識をアップデートして、適切な優先順位が判断できるようになりましょう。