後編では、テクニック的な話をしていきましょう。
Lv.3 ミスは仕組みで防げ
ミスしない仕組みを考える
前編からの繰り返しになりますが、ケアレスミスはただの注意不足ではありません。
必ず理由があります。
言い換えれば、
ミスをしない人には、しない理由があります。
それは
自分がミスをしない仕組みをつくっている
ということです。
例えば数学なら
自分がミスしやすい計算のときは途中式を細かく書く
例えば物理なら
使える文字や答えの単位を問題文にマークする
例えば英語なら
キーワードや、解答の根拠になる英文に下線を入れておく
こんなふうに、ミスする確率を下げるような「動作」を考えるということです。
「指さし確認」とかと同じで、動作が伴うと、人は自分の注意をコントロールしやすくなります。
自分に罠を仕掛ける
ちょっと脱線しますが、
みなさんは森に動物を捕まえる罠を仕掛けるとしたら、
罠をどこに仕掛けますか?
いきなり突拍子もないことを聞かれて意味不明だとは思うんですが、
ちょっと考えてみて下さい。
答えは、当たり前なんですが
「動物が通りそうなところ」
たとえば猟師さんは動物の糞や足跡を観察し、
その動物の行動パターンを予測し、
通りそうなところに罠を仕掛けます。
観察と予測。
そして仕掛け。
これはケアレスミスの防止と全く同じ考え方です。
僕は
「自分に罠を仕掛ける感覚」
と伝えています。
例えば、僕には毎日出かける時に
トレーの上のキーケースを持って出る
という生態があります。
明日、どうしても仕事にハンカチを持っていきたいとき
(どういう状況かわかりませんが)
キーケースの上に置いておけば、出掛けに必ずハンカチを手に取ることになり
あ、そうだった。
ハンカチ持っていくんだった。
と気づいて忘れずに済みます。
なんだか微妙な喩えをしてしまいましたが、
「ミスしない仕掛け」というのは罠に似ています。
相手(自分)の行動パターンをよく観察・予測して
自分だったらこうしておけば必ず〇〇するだろう
なんてことを考えるわけです。
社会人になっても大事
さらに「ミスを仕組みで防ぐ」という考え方は、
社会に出ても大事になります。
ビジネスの世界では
ヒューマンエラーとシステムエラー
という言葉をよく使います。
ヒューマンエラーとは人間が不注意で起こしてしまうミスのことです。
つまりケアレスミスですね。
システムエラーというのは仕組みの不備によって起こる間違いのことです。
例えばマニュアルがあるケースには対応してなかったとか。
で、ビジネスの世界では
「できるだけヒューマンエラーの問題にはせず、システムエラーと見なす」
ことが推奨されます。
例えば業務上で何か間違いが起きたときに
あいつの不注意だ!あいつのせいだ!
と考えるのではなく
そもそもミスが起こる仕組みに問題あるよね
と考えようってことです。
人間の注意力には個人差も限界もあります。
どんな人だってミスをします。
それを
「注意しろ!」
で片付けるのではなく、そもそもミスなんて起こりえない仕組みを作ってしまえばいい。
ミスを減らすためには、まずこの発想を手に入れて下さい。
Lv.4 ブレーキを覚えろ
さて、最後はさらに高度な技術を紹介します。
それがブレーキの技術です。
安全ほど速い乗り方はない
車や自転車、バイクなどのレースの世界にはそんな考え方があるそうです。
速く走ろうとしてスピードを上げることばかり考えると、
急ハンドルや急ブレーキが必要になり、
結果として無駄な動作が増えてタイムロスする。
そんな意味らしいです。
試験中もまさに同じことが起こります。
特に制限時間がタイトな試験では。
- 焦ってスピードを上げる
- ミスをする
- 解答欄に合わない
- ミスを探す
- 見つからない
- 余計焦る
みたいな連鎖。
身に覚えがある人も多いと思います。
前編の振り返りになりますが、
ミスしないためには頭のメモリに余白をつくること。
そして、そのためには、自分にとって無理のないところまでスピードを落とすことです。
ミスしない人の特徴は「注意力」なんていう曖昧なものではなくて、
このスピードの調整が上手いということです。
特にブレーキの使い方。
ミスしそうな時に、必要な分だけスピードを落とすことができる人はミスが圧倒的に少なくなります。
ブレーキをかける方法
ミスしそうな場面ではスピードを落とす
これを頭で意識しようとしても、なかなか上手くいきません。
だから、ブレーキを習得したい人は以下のことを試してみて下さい。
字を丁寧に書く
書道ばりにする必要はありませんが、いつもより少しだけ字を丁寧に書いてみましょう。
それだけで適度なブレーキになり、頭に余白ができることが多いです。
途中式の書き方を調整する
数学では、途中式の書き方を調整するのもひとつの方法です。
ミスしそうな場面では1処理ごとに1行書くようにする、とかです。
問題文に印をつける
国語や英語では、問題文に印をつけるのも有効な方法です。
例えば本文中から抜き出す問題なら、いきなり答えを書くのではなく、抜き出したい箇所に一度線を引いてみるとか。
あるいは、本文を読んでいる時に重要な語や接続語に印を入れてみるとか。
ペンを置く
僕は試験中によくペンを置きます。
これはけっこう勇気がいるかもしれませんが、物理的に「書けない」状態をつくることで思考が先走っていくのを抑えることができます。
例えば数学で解法が思いついたとき、例えば英語で抜き出す箇所を見つけたとき、すぐにその答えに飛びつくのではなく、「もっと良い方法はないか」と考えてみることが重要です。
そういう時に、ペンを置いていれば強制的にブレーキがかかります。
挙げてみると
「なんだ、こんなことか」
と拍子抜けした人もいるかもしれません。
でも、ミスが多い生徒と少ない生徒をよーく注意深く観察すると、その差は意外とこういうことだったりするんです。
これはスポーツと同じで、上手い選手は派手なことができるのではなく、当たり前のことが当たり前に上手いというのに似ているかもしれません。
おまけ:見直しはするべき?
実は僕は生徒には
見直しはしない方がいい
と伝えています。
まぁこれはちょっと語弊があるのですが、少なくとも「見直し」にはデメリットもあって、
それをわかった上で使って欲しいということです。
見直しのデメリットは2つあります。
一つは問題の再読み込み。
見直しっていうのは、試験問題を最後まで解き終えて、最初に戻って点検していく人が多いでしょう。
その時、最初の問題文を一から読み直し、答えまでの流れを再度辿ることになります。
これが大変。
中学レベルならまぁいいでしょう。
問題文も長くないし、条件も単純だし。
でも高校レベルの問題は設定を認識し直すだけでも大変。
ましてや、そこから答えを得るためになんやかんや考えるっていうのは、試験時間の中で現実的に不可能なことも多いです。
これが見直しのデメリット一つ目。
もう一つの問題は「思い込み」です。
ケアレスミスをする時って、それを正解だと思い込むことが多いです。
「3×4=15だと思った」
「文中の not を見落とし、真逆に意味を受け取っていた」
なんて、冷静になったら信じられないようなことを、その瞬間は正解だと思い込んでいた経験を、誰しもしたことがあると思います。
そして、脳はこの思い込みに気づくのがすごく苦手なんです。
もう既に一度「正解」として「処理」されてしまっているので、見直していても「処理済み」の部分には意識が向きにくく、そこでの間違いに気づくのは意外と大変だったりします。
つまり、ミスをしないことよりも、ミスに気づくことは難易度が高いのです。
たまに生徒で
「見直しに10分使いたいから、10分余らせるために急いで問題を解いた」
という人がいます。
その人は、より難易度が高い「ミスに気づく」をやるために、そもそもミスしやすい状況を作っていることになります。
これは損ですよね。
僕は大学受験を目指す高校生には、できれば、その手前の中学生にも
見直しに頼らないために、この記事で紹介した
・ミスしない仕組み
・ブレーキ
といった技術を身につけて欲しいと思っています。
まとめ
前編後編をセットでまとめておきましょう。
Point
- そもそもケアレスミスなのか疑う
- ミスする前提で+10点を狙う
- 反復で頭に余白をつくる
- ミスしない仕組みをつくる
- ブレーキの技術を覚える
- 見直しはデメリットを知る
いかがですか?
ケアレスミス一つとっても、
勉強が上手い人は決して「注意する」みたいな曖昧な話にはせず、
自分を観察して具体的に対処しています。