数列って好き嫌いが分かれる単元ですよね。

「これはめっちゃ好き!」
って言う生徒もいれば

「数列だけは無理」
っていう生徒もいます。

個人的には数列大好きなので、嫌い側の感覚がわかりませんが…。

数列嫌いの生徒が、その中でも嫌悪するのが
・群数列
・漸化式
・数学的帰納法

の3トップです。

今回はその中でも漸化式を取り上げます。

学習法の専門塾らしく、勉強の仕方を解説していくので、苦手な人は参考にして下さい。


1.漸化式とは?

漸化式とは、簡単に言えば数列の表し方のひとつ、だと思ってください。

例えば以下のような数列があるとします。

これを式で表す方法が2つあります。
ひとつは一般項で表す方法
もうひとつは漸化式で表す方法です。

公差の2を(n−1)回分加える

135791113
+2
+2
+2
+2
+2
+2

一般項で表すと

漸化式で表すと

この2つの式は同じ数列を表していますが、着眼点が違います。

一般項の方は
「初項から狙った項数までワープする方法」というイメージです。

例えば第60項を求めたければ、
「初項に対して2を59回足せばいい」
という発想を式にしたものです。

一方で漸化式は
「ひとつ隣の項に進む方法」というイメージです。

例えば第60項を求めたければ
「第59項に2を足せばいい」
という意味です。

もちろん

「じゃあ第59項はどうやって求めんねん」

という話になります。
それが面倒なので、漸化式はちょっと不便で、一般項の方が便利です。
(Σにもそのままつっこめるしね)

だから設問としても

漸化式から一般項を求めよ

という問題が基本になります。


2.漸化式は3段階で捉える

次に漸化式の全体像をおさえましょう。

漸化式は3段階で捉えて下さい。

上級応用形中級特性方程式型初級基本形等差型・等比型・階差型

まずは基本形を身につけましょう。
基本形とは
・等差型
・等比型
・階差型
の3つです。

これを習得したら、特性方程式型と言われるものを習得します。

この2段階については後で詳しく解説します。

最後に応用ですが、応用はバリエーションが結構多い上に難しいものはかなり難しいので、習得する範囲は自分の目標レベルに合わせて調整して下さい。


3.基本形は翻訳で解く

ここからは勉強の仕方も交えながら詳しく解説していきます。

まず、第一段階である基本形の学習です。

さっそく落とし穴なんですが、
基本形は、解法らしい解法はありません

「式を読めば、そのまま答えが出る」
というタイプの問題です。

このことが逆に生徒たちを混乱させているように見えます。

というのも、数学が苦手な人は特にですが
「数学を勉強する」=「問題を解く手順を覚える」
と捉えがちです。

それなのに漸化式の基本形には手順らしい手順がない。
ここで、何を学べばいいのか混乱してしまう人もいるみたいです。

漸化式の基本形は、とにかく
「式を読んで、その意味を考える」
ということに尽きます。

次の項をつくるには

前の項に

3を足せばいい…

これは

等差数列のこと

等差型ならこんな感じ。
「式の意味を考える」というのは
式を日本語に翻訳するということだと思って下さい。

等比型も階差型も、同じように式を日本語に翻訳したら
「なんだ、ただの等比数列か」
ということがわかって、一般項も同時にわかるという仕組みです。

繰り返しますが、ここに手順らしい手順はないので注意して下さい。


4.基本形に落として解く

基本形は翻訳して解く。

そうすると
2段階目の特性方程式型や、
3段階目の応用型はどうやって解きますか?

答えは「解けません」

これも漸化式の落とし穴です。
解ける漸化式は基本形の3つだけ
だと思ってください。

では他はどうするのかというと、
基本形に落として解く
しかありません。

つまり「解けない」というのは、「そのままでは解けない」という意味で、
その状態を回避するために置換し、基本形に落とし込んで解くことになります。

上級
中級
初級

指数型

nの一次式型

分数型

累乗型

連立型

特性方程式型

等差型

等比型

階差型

pq

pq

階差をとる

逆数をとる

対数をとる

和と差をとる

でずらす

で割る

横にスクロールできます

この意識がないと勉強してても混乱してしまうので気をつけて下さいね。


5.基本形と特性方程式型は”自動化”する

ここから少し心理学の話をします。
心理学には「自動化」という言葉があります。

言葉のイメージ通りなんですが、
自転車に乗ることや、自分の名前を書くこと、九九の計算みたいに
頭を使わなくてもできるようになることを自動化といいます。

僕の中では
「ボタンを押せば、手が勝手に動いてくれる感覚」
です。

例えば
「あ、これは余弦定理で求まりそうだな」
と思ったら、辺の長さや角を確認して、
頭の中にある【余弦定理】のボタンを押す。

すると、手が勝手に動いて答えを出してくれる。
そういう感覚になるのが自動化だと思ってください。

数学において、この自動化はめちゃくちゃ重要です。

頻出の計算を自動化しておくことで、
・計算ミスが少なく、点数が安定する
応用的なことを考えるのに頭の容量を空けておくことができる

というメリットがあるからです。

既に自動化されている計算もあると思います。
例えば
・解の公式
・平方完成
・余弦定理
あたりは自動化されている人が多いですね。

そして、漸化式においては
まず基本形を自動化して下さい

なぜなら、次の特性方程式型は等比型に落として解く方法なので、
基本形を自動化しておけば途中からは
【等比型】のボタンを押せば解けるからです。

そして、次に特性方程式型も自動化して下さい。

これはよく出題されるし、応用型の中には特性方程式型に落として、さらにそこから等比型に落として解くものもあります。
文字にするだけでややこしいですよね。
だからこそ、頭の中に【特性方程式型】のボタンをつくっておく必要があります。

特性方程式型のかたちまで持っていければ、ボタンを押せば終了。

もう察したかもしれませんが、数学が得意な人は、自動化が得意な人です。
応用問題も
「途中からはボタンを押すだけ」
と捉えられるからこそ、勉強がサクサク進むわけです。

これは漸化式だけでなく、他の単元を勉強するときも意識して下さい。


6.自動化のコツ

ここからさらにマニアックになります。
少し感覚的なんですが、自動化のコツとして僕が学生時代にやっていた方法を紹介します。

「この通りにやってくれ」
という意味ではなくて、それぞれの工程での感覚もあわせて書いていくので、
そちらを大事にして下さい。
同じ感覚になるなら、あなたに合った方法にカスタマイズしてもらって大丈夫です。

例えば、特性方程式型を自動化するとします。
あとで紹介するウチのオリジナル教材を使って解説します。

ポイントは(1)をめっちゃやるということ。

まずは普通に勉強します。
解法を学び、それを理解し、(1)を解いてみます。

ここで
解けても解けなくても(2)には進みません

(1)が自動化されるまで何度も解き直します。
といっても、毎回途中式を書くと時間が大変なことになるので、脳内で。

計算は省きます。
あくまで手順だけを追いかけるイメージです。

αと置いて、
それを解いて、
式を変形して、
bnと置いて、
等比型で解いて、
anを求めて…

みたいなことを脳内でひたすら考えています。
(↑は言語化してますが、もう少し感覚的です)

学びたての解法ならば、最初はたどたどしいものです。
でも、脳内反復をするうちに、少しずつなめらかになっていくのがわかると思います。

そして

「あ、習得した」

と思える瞬間がやってきます。
一度もつっかかることなく、なめらかに、
ほとんど意識しなくても最後まで流せる瞬間です。

この瞬間を感知できるようになれば、数学の勉強はめちゃくちゃやりやすくなると思います。

この自動化までの流れで意識して欲しいのは

意味理解

なぜこうする

解き方に納得し、理解できている状態

手続き化

なぜこうする

意味理解から手順だけを抜き出した状態

自動化

認知コストをほぼ使わずに処理できる状態

これです。
自動化までを3つのフェーズで考えます。

まずは意味理解のフェーズ。
数学は「なぜ」と「こうする」がセットです。
「こうする」にあたる手順だけ覚えても定着しないし、応用もできないし、あまり良いことがありません。

反復の中の最初の2回ぐらいは意味理解(なぜ)を重視して下さい。

「ちゃんと理解できてるぞ」
と自信が持てたら、そこから手順(こうする)だけを抽出するイメージです。

今度は逆に深く考えすぎず、手順だけをできるだけ頭に負荷をかけないように、最短距離でなぞります。
これが上図の「手続き化」のフェーズです。

これを何度も繰り返すことで、最終的に「自動化」に至ります。

自動化できたと思ったら(2)でそれを試す。
その時に
「できると思ったけど、意外と手間取る箇所」
とかが出てくると思います。
それは(2)をまた脳内反復することで自動化する。

その成果を(3)で試す。
これを繰り返して(6)までやれば、たぶん自動化できていると思います。


7.識別の練習をする

漸化式の勉強のさいごのポイントは、識別の練習をすることです。

数学が苦手な人ほど解説とにらめっこしてますが、実は本当に注視するべきなのは問題の方だったりします。

特に漸化式はすべて似てるっちゃ似てるので、問題を見て

「あれっ?この式の形って、どの型だっけ…?」

ってなることが多いですよね。

つまり、それだけ問題を識別する力が大事になります。

「識別する力」は「解く力」とは別物です。
例えばあなたが漸化式を6問勉強するとして、1問5分で解けば30分ですね。

ではその30分のうち、問題を観察していた時間はどれくらいですか?

と問われたら、1分もないのではないでしょうか?
それぐらい、勉強時間のほぼすべてが「解法」に充てられていて、問題文の観察はおろそかになっています。
だから「識別の力」がつかない、ということになります。

ではどうすれば「識別の力」を効率よくトレーニングできるか?

それは、普段の勉強とは逆に
・解く時間を限界まで削り
・問題を観察する時間をひたすら多くする

ということです。

こんな感じ。
このプリントは解くためのものではなく、問題を識別するためだけのものです。

一つひとつの問題を見て

「あ、この式のかたちなら〇〇型だな。じゃあこうやって解けばいいな。」

ということが頭に浮かぶかどうか。
それだけです。
浮かんでも、浮かばなくても、問題を解く必要はありません。

ちなみに数学が得意な人は実はこんな感じで問題集の問題部分だけを見比べていって、解法が浮かぶかをチェックするだけという勉強法を取り入れている人が多いです。

実はすごく理に適った、画期的な方法なんですが、地味すぎて誰もやってることに気づきません(笑)

本人ですら「これは勉強法の工夫だ」という自覚なくやっていることが多いので、あまり勉強法として目にする機会はないかもしれませんが、とても効果的なのでぜひ取り入れてみて下さい。


オリジナルプリントの紹介

ここまでのポイントを整理すると

・漸化式は3段階で捉える
・基本形は翻訳で解く
・基本形に落とし込んで解く
・基本形と特性方程式型は自動化する
・問題を識別するトレーニングをする

です。
苦手な人が多い漸化式ですが、できてない理由はだいたい
・基本形が自動化されていない
・問題を識別するトレーニングが足りていない

のどちらかです。

ということで、それを解決するためのプリント教材をつくりました。

まず基本形については12問×2枚。
基本形は計算量が少ないので数をこなせるように問題数を多めに。
1枚で習得できればOK。
苦手な人用に一応2枚目も用意しています。

特性方程式型は6問×2枚。
こちらは少し計算量が多いので、問題数は6問にしています。
といっても全て同じ解法なので6問やれば十分でしょう。
こちらも2枚目は苦手な人のダメ押し練習用。

そして応用形も6問×2枚。
応用系は頻出の5種類をカバーしています。
こちらは難しいものもあるので、2枚目が必要になる人も多いと思います。

最後に、これはウチ独自の「識別トレーニング」
1枚につき32問がズラっと並んでいるので、型の識別だけをして下さい。

実際に解く勉強をして32問分の経験を積むには膨大な時間が必要です。
それを「識別だけ」にすることでギュッと短縮できます。

解答と解説は、使いやすいように略解と途中verを2種類用意してます。
自信があれば略解で〇×をつければ十分だし、
自信がなければ途中式つきの解説を見て分析して下さい。

これらの教材を、ウチの塾生は教室のPCから無料使用できます。
また、こちらのページからDLしてお家で印刷して使ってもらってもOKです。

一般の方には300円で販売しています。
こちらのサイトから購入できます。
紙での販売ではなく、PDFファイルをDLする形式です。印刷はご自身でお願いします

ちなみに、購入するのが学校や塾の先生なら、その生徒たちには印刷したものを無制限で自由に配ってもらって構いません。
(もともと指導者への販売を想定してつくっています)

漸化式は習得しちゃえばはっきり言ってカモです。
これを機にマスターして得点源にしちゃってください!