勉強は1回の質で決まる
「勉強のやり方」というと
・どんな参考書を使う
・その参考書をいつまでに何周する
・いつから過去問をやればいい
みたいなことを想像する人も多いです。
いわゆる「戦略」というヤツで
ウチは受験までの最短の戦略を立てますよー
みたいなことを売りにしている塾もあります。
もちろん戦略も大事なんですが、もっと大切にして欲しいのは
1回の勉強のクオリティ
です。
もっと言えば、1問の勉強。
もっと言えば、その中での一瞬です。
勉強というのは、一瞬一瞬で何を考えたか、何を理解したか、何を覚えたかの繰り返しでしかありません。
1回の勉強の質が低いままでは、参考書を何周しても力がつかない、なんてことになってしまいます。
完璧な作戦も戦略も、大崩れです。
僕は普段からこの
1回の勉強の質をどう高めるか
という観点で研究をしているし、授業でのアドバイスにも反映させています。
今回はその一環として
勉強の質を高めるためのチェックリスト
なるものを開発しました。

5観点10項目で自分の勉強を振り返ってもらうためのシートです。
既に一部の生徒に実験してもらったんですが、勉強の質がすごくよく可視化されます。
(自画自賛みたいですいませんが、本当にすごくよく可視化されます)
授業では解説用の別紙をもとに僕が一通りの説明を行ったあとにチェックシートをつけてもらうんですが、今回はその解説内容を記事にしてみようと思います。
ちなみに
1問の勉強の質
という観点では以前に
こんな記事も書いています。
できればこちらも合わせて読んでみて下さい!
問題と解答を照らし合わせる
では、ここからは5つの観点を、一つずつ例題を示しながら解説していきます。

まずはこれ。
ここでやってはいけない勉強を紹介しておきます。
それは
解答・解説だけを見る
というものです。
上の問題なら
「なるほど。過去の文だからwasが答えなんだな。……was…っと」
って感じで赤ペンでワークに答えの「was」を書き込んで終了。
これが最悪のやり方で、何の勉強にもなっていません。
なぜなら
答えがwasだ、ということを知ったところで、その導き方がわかっていなければ自力で問題は解けないからです。
例題であれば、問題文にある
He
を見て、適切なbe動詞の形はisかwasであることがわかります。
さらに文末の
yesterday
を見て、過去形のwasが適切であると確定します。
このように勉強では
ただ解答を見る
だけでなく
問題文のどこを見て、どのように考えて、その答えに行きつくんだろう?
ということを考えなければいけません。
めちゃくちゃ当たり前のことを言っているようですが、意外とできていない生徒も多いんですよね。
ということで、ここでのチェックポイントは
- 問題文のどこを見て答えを判断するのか考えている
- 問題から答えを出すまでのプロセスを言葉にできる
です。
問題と問題を照らし合わせる

次はこの数学の問題を考えてみましょう。
形はよく似ていますが、全く違うことを問われていて、全く違う解き方をする2問です。
この2問を混同して間違えてしまった経験がある人は多いと思います。
ここで重要なポイントが
問題同士を比べてみる
ということです。
これは結構高度なことです。
なぜなら、例えば上の2問なら
片方の問題を勉強しているとき、そのページにもう片方の問題は載っていないからです。
勉強が下手な生徒は、どうしても今目の前にある問題に意識が集中してしまいます。
一方で勉強が上手い人は、その問題を勉強しながらも
「前のページにあった問題と似てるなぁ。何が違うんだろう?」
と、目の前にない問題を記憶から引っ張ってきて考えることができます。
この項目は面白くて、数学が得意な生徒は5(できている)がつきやすく、数学が苦手な生徒は1(できていない)がつきやすい項目でもあります。
勉強の質を大きく左右するポイントなので、できていない人はぜひ意識して欲しいですね。
ちなみに慣れないうちは問題を解くのではなく、ただワークを1から点検して
「この問題とこの問題は何が違うんだろう?」
と観察する時間を設けるのも良い方法です。
問題同士を比べる習慣がつけば、勉強の質は爆上がりしますよ。
ということで、この項目のチェックポイントは
- 問題同士を比べ、違いを探そうとする意識がある
- 問題同士の特徴の違いを言葉にできる
です。
記憶の定着チェック

次の観点はシンプルです。
↑のように漢字を覚える勉強をするとします。
生徒の中には、答え合わせをして、正しい答えを赤ペンで書いて、そのまま次のページに進んでしまうことがあります。
でも、本当に赤ペンで書いただけで覚えているでしょうか?
「勉強をする」とは、ただワークを埋めてページを進めることではありません。
それを通して何かを得ることです。
これは多くの生徒が
わかってはいるけど、ついつい甘えが出てしまう
ところでもあると思います。
この観点はこれ以上説明不要でしょう。
チェックポイントは
- 「本当に覚えられているか?」を自問する習慣がある
- 勉強の中に自分でテストする時間を設けている
です。
本質理解チェック

次の例題は理科です。
拒否反応を示す人も多いと思いますが、頑張って。
↑はオームの法則を用いた回路の抵抗を計算する問題。
ですが、今回はこれが解けるかとか、オームの法則を知ってるかは気にしないでください。
ここで大切なのは、
例題は文章で出題されているが、これを回路図などの別の形式で出されても大丈夫か?
という視点を持てているかどうかです。
例題に限らず、テストに出るような問題にはいくつもの形式があります。
自分がワークで勉強した事柄が、別の形式で出題されるかもしれない。
それに対応するためには、ただ問題ごとの解法を覚えているだけではいけません。
テストに出題されうる全て形式を事前に勉強しておくことは不可能だからです。
そうではなく、学んだ問題の本質を理解し、形を変えられても対応できるような力をつけておく必要があります。
このことを考えず、特定の問題の解法だけ覚えて、ワークの問題には正答できたからOK、と考えてしまっている生徒も多いです。
「本質理解」は自力では無理なケースも多いので、わかなければ調べたり、質問してくれても良いんですが、まずはスルーする癖を改めましょう。
ということで、ここでのチェックポイントは
- 「形を変えて出題されても大丈夫か?」を自問する習慣がある
- 解法を暗記するのではなく、その意味を理解しようとする習慣がある
です。
応用範囲チェック

最後の観点は社会から。
この問題は「鎌倉仏教」というカテゴリーからの出題です。
法然の浄土宗、
親鸞の浄土真宗、
一遍の時宗、
日蓮の日蓮宗、
栄西の臨済宗、
道元の曹洞宗。
みたいなのを小テストされた人も多いでしょう。
さて、↑の例題がワークに出てきて、あなたは答えられなかったとします。
その時どうしますか?
そうだ、浄土宗は法然だった。覚えておこう。
これで終わりですか?
それだと勉強はなかなか上手くなりません。
なぜなら
ワークではたまたま法然が選ばれただけで、テストでは違う人が問題になるかもしれないからです。
ワークには覚えるべき問題の全ては掲載できません。
(大学受験におけるチャートや、Scrambleなど、網羅性を売りにしたものは例外ですが…)
だからワークで1つの問題に誤答したとしたら
そのカテゴリー全て、記憶から抜けてるんじゃないですか?
と言われてるんだと思いましょう。
例題であれば
鎌倉仏教に弱いのかもしれないし、
鎌倉時代に弱いのかもしれない。
1つの問題から、想像力を持って色んな可能性を検討しましょう。
そして、不安があれば教科書や参考書で確認してみるなど、対策を講じましょう。
これも当たり前に思えて、意外とみんな甘くしてしまっているところです。
ということで、チェックポイントは
- 「同じカテゴリーの別の問題が出ても大丈夫か?」を自問する習慣がある
- 解いた問題の周辺知識を点検する習慣がある
です。
熟達は「目」で決まる
ここまで5観点10項目のチェックポイントを紹介してきました。
僕も授業中にこのような観点で生徒の学習を観察し、指摘・アドバイスをしています。
ただ、僕が指摘するだけでは不十分です。
本当に大切なのは、勉強をする生徒自身が、自分の勉強を見る「目」を肥やすことです。
これは生徒に常日頃から言っている話ですが、
基本的に熟達は「目」の良さで決まります。
スポーツが得意な人はプレーを観察する「目」が優れています。
デザインが得意な人は、デザインを見る「目」が優れています。
「目」ではないですが、
音楽に秀でた人は「耳」が優れています。
人間は認識できる範囲でしか熟達はできません。
僕がウチの方式を「自由に学習」としているのも、
「指示」や「強制」をせず、ただ分析とアドバイスに徹しているのも、
「生徒自身の目」という、勉強において最も重要なファクターをウチの塾の中心に置きたいと思っているからです。
(絶対に代替できないものを「先生がやってくれる」と誤認させる商法が嫌いだからでもあります)
ちなみに、勉強を見る「目」のことは専門的に「メタ認知能力」と言います。
今回のチェックリストも、生徒たちに「目」を養ってほしくてつくりました。
ただチェックをつけて、
「こういう勉強をしようね」
で終わりじゃなくて、
普段からこのチェックポイントにあるようなことが全自動で意識できる習慣をつけて下さい。
勉強が上手い人は、このチェックシートには驚くほど「5」が並びます。
そして「目を養う」という感覚を、勉強を通して身につけて、できればそれを他の分野にも活かしてみて欲しいと思います。
どうせやるなら、人生を楽しく、豊かにするための勉強を。
このチェックリストはけっこう自信作なので、是非試してみてください!
