「とりあえず勉強する」をやめてみよう
戦略を立てる前に、まずゴールを決める
前回の記事では、「1回の勉強の質」をどう高めるかという話をしました。
今回はその続きで、もう少し広い視点の話です。
よくあるのが、こういうパターン。
テスト2週間前に「よし、勉強するぞ」と机に向かう。ワークを開く。1ページ目から順番に解き始める。ふと気づいたら、テスト範囲の前半しか終わっていない。
これ、全然悪気はないし、むしろ真面目にやってます。
でも、ゴールから逆算して計画を立てていないという点で、効率がかなり悪い勉強になっています。
今回紹介する勉強のやり方は、ゴール(テスト日・志望校・目標点)から逆算して、今の自分に何が必要かを考え、計画を立てる。そういうゴールから始まる勉強のデザインです。
今回も、勉強を振り返るためのチェックシートを作りました。

4つの観点・8項目で、自分の計画の立て方を振り返ってもらうためのシートです。
今回もその解説内容を記事にしていきます。4つのステップを、一つずつ見ていきましょう。
① 目標を決める
まず、具体的なゴールを決めます。
「英語、次のテストで80点とる」「模試でこの偏差値まで上げる」みたいなものです。
「頑張る」はゴールじゃありません。
「達成したかどうかが判断できるもの」でないといけません。
ゴールが曖昧だと、そこから先の計画も全部ぼやけます。
そしてもう一つ。目標は高すぎても低すぎてもいけません。
よく「目標は高く持て」と言われます。モチベーションとしての高い目標は大事です。
でも、計画のベースになる目標は、現実に達成可能な範囲で設定することが大切です。
ゴールが非現実的だと、このあと説明するタスク分析も自己分析も意味をなくします。
高すぎる目標をもとに計画を立てると、「また失敗した」という経験だけが残ります。
「達成できるイメージが持てるか」が一つの基準です。
大きな夢があるなら、そこへ向かうスモールステップを設定しましょう。
ということで、ここでのチェックポイントは
- 自分が心から達成したいと思える目標を設定している
- 高すぎず低すぎず、達成できるイメージを持てる目標になっている
です。
② 課題を分析する
次に、そのゴールを達成するために何が必要かを洗い出します。
ここが、実は計画の中でいちばん重要なステップです。
まず大事なのが、「何が出るか」を現実に即して考えること。
勉強が下手な生徒あるあるの一つが、テストを「テスト」としか認識していないことです。
どういうことかと言うと
・テスト範囲はどこからどこまでで
・どういう内容が含まれていて
・どういうタイプの問題が出されそうか
というテストの中身を考えず、単に「テスト」としか認識していないということです。
これでは、何を勉強すればいいかわかりません。
定期テストなら、これまでのテストで先生がどんな問題を出してきたか、授業中にテストについて言及していなかったか。受験なら過去問を分析する。
「どんな問題が出るか」がわかって初めて、「何を身につける必要があるか」が見えてきます。
さらに重要なのが要素分解です。
たとえば英語の並べ替え問題なら、
・単語の意味を知っているか
・熟語を覚えているか
・文の構造を理解しているか
など、その問題を解くために必要な力を細かく分解して考えます。
ここをサボると、「勉強した」けど「点数に結びつかない」という状況が起こります。
自分が本当に必要なことを勉強できないからです。
自分だけでは難しければ、積極的に質問してくれてかまいません。
「こういうタイプの問題が苦手なんですけど、どうすればできるようになりますか?」
みたいな感じで。
ということで、ここでのチェックポイントは
- 過去問や予想問題をもとに、実際に出る可能性が高い問題を把握している
- 問題を解くために必要な力を細かく分解して考えている
です。
③ 自己分析をする
タスクが洗い出せたら、次は自分の現状を把握します。
「文法は大丈夫そう。長文がかなりまずい。単語は基礎はできてるが応用が弱い」
というように。
タスクが「ゴールに必要なこと全体」だとしたら、自己分析は「今の自分とのギャップ確認」です。
このギャップが、やることリストになります。
ここで注意したいのが、「なんとなくわかった気がする」という状態の危険さです。
本当の実力を把握するには、自分に厳しく向き合う必要があります。
問題を解いたり自己テストをしたりして、覚えたつもりになっていないかを確認しましょう。
おすすめは、過去のテストや模試の答案を見返すことです。
「どこで点を落としているか」が、感覚ではなくデータとして一目でわかります。
同時に、データに乗らない「感覚」も大切にしてほしいです。
やりやすい・やりにくい、気持ちが乗るか乗らないか、あと一歩の手応えがあるかどうか。
こうした自分だけの感覚は、次のメニューを考えるうえで重要なヒントになります。
僕も普段のヒアリングの中では、このような感覚を聞き出したいと思っています。
単に
「〇〇ができない、△△はできている」
という情報だけでは、学習のアドバイスはできません。
勉強しているときの感覚という情報が伴って初めて、本当の意味でつまづいているポイントがわかるし、そうなってしまうのは学習法のどこに問題があるのかが炙り出せます。
ということで、ここでのチェックポイントは
- 「わかったつもり」にならず、問題を解いたり自己テストして本当の実力を把握している
- 正誤だけでなく、やりやすさや気持ちの乗り具合など自分の感覚にも目を向けている
です。
④ メニューを設定する
課題分析と自己分析が終われば、何を学べばいいかは決まっているはずです。
あとはそれに対応した勉強メニューを、具体的に決めます。
「具体的に」というのは、使う教材・ページ・問題番号まで決めるということです。
準備の精度が、勉強の質を左右します。
単語帳を使うなら、全部で何語あるかを把握した上で「1日40語、〇〇日まで」と計算できます。
ワークも1ページ目から全部全力でやる必要はなくて、タスク分析と自己分析を踏まえれば「ここは薄くていい、ここに時間をかける」という強弱がつけられるはずです。
さらに、「何をやるか(what)」だけでなく「どうやるか(how)」も考えましょう。
復習のタイミング、確認テストの有無、意識するポイント。
「これまで1時間かけていた内容を30分でこなせるようになるにはどうすればいいか?」
を考えるクセをつけてください。
同じ教材をやるにしても、how を意識するだけで勉強の中身は変わります。
ここまで決められて初めて、「計画を立てた」と言えます。
「2週間、頑張って勉強する」は計画ではありません。
ということで、ここでのチェックポイントは
- 使う教材やページまで具体的に決めており、勉強するときに迷わない
- どのように進めるか、やり方まで考えてメニューを設定している
です。
計画の本質は、メニューではない
ここまで4つのステップを紹介してきました。最後に、計画そのものについて大事な話をします。
計画を立てたのに、うまくいかないことがあります。
体調を崩す。
部活が予想より忙しい。
自己分析が甘くて、思ったより時間がかかる。
こういうことは、計画を立てた段階では完全には予見できません。
だから計画は、「修正するためにある」というくらいの気持ちで持っていてほしいです。
勉強は、完全なプランがあるから上手くいく、というものではありません。
「計画通りにいかなかった=失敗」ではなく、「気づいて修正した=成功」です。
計画を「勉強メニュー」だと思っている人は、臨機応変な修正ができません。
「立てた計画が崩れた=終わり」になってしまいます。
計画の本質は、目標から学習メニューまでが一本の線で繋がっていることです。
「この目標を達成するために、これを身につける必要があって、そのためにこのメニューをやっている」
という繋がりが頭に入っているかどうか。
その繋がりが見えていれば、メニューは状況に応じて変えられます。
むしろ、変えるべきときに変えられるのが、いい計画の使い方です。
勉強メニューは計画の一部に過ぎない。
本当に大切なのは「何のために何を身につけるか」がわかっていることです。
まとめ
「勉強しているのに成績が上がらない」という状態の生徒を見ていると、たいてい今回紹介した4ステップのどこかが欠けています。
特に多いのが、課題分析や自己分析が甘いケースです。
特に
「勉強とは、誰かに教えてもらって、言われた通りにすること」
みたいに受け身な認識をしている人は、
「自分自身で把握する」という意識が弱く、課題分析や自己分析が身につきません。
テストの中身を分析せずに「とりあえず全部やる」という勉強は、どこかで壁にぶつかります。
今回の記事を読んで、自分の計画にこの視点が入っているか、少し考えてみてください。
そして、今回作ったチェックシートをぜひ試してみてください。授業で使っているものと同じです。
4つの観点に、「5」が並ぶ計画が立てられるようになったら、勉強の景色はかなり変わってきますよ。
