この記事は、当会の授業で行っている分析や戦略の立て方を一部紹介するものです。

今回は甲南大学の英語を、2026年度の問題をベースに見ていきます。

「甲南大を受けようと思っているけど、出題傾向とか全然わからない…」

という人は、参考にしてください。

板宿校では、関西学院大学や関西大学、国公立大学との併願で甲南大を受ける人も多いです。
それぞれと併願するときの受験戦略についても、後半で触れています。


甲南を舐めてはいけない

かわいそうなことに、甲南大学はなぜか舐められがちです。
特に国公立や関関同立を志望する人。

「甲南ぐらいは受かるだろう」

なんて考えてませんか?

甲南って普通にいい大学です。
問題だって決して簡単ではありません。
「ぐらい」なんて言っていい大学ではないので、この記事でちゃんと中身を知っておきましょう。

構成は?

甲南大学は2025年から、大問4問のオールマーク形式になりました。
名物だった4コマ漫画を使った英作文が消えた代わりに、短文の文法・語法・熟語の問題が追加されました。
大問1・2の長文は論説文です。

出題構成 70分/4題/全問マーク
大問1長文 700〜800語
大問2長文 400〜500語
大問3会話文 空所補充
大問4文法 短文10問

2025・26年は全学部共通の問題でした。
とりあえずこの形式がしばらく続くと考えてよいでしょう。

2025年度からの変更点
  • 全学部・学環で共通問題になった
  • 名物だった4コマ漫画の英作文が廃止され、全問マーク式に
  • そのぶん短文の文法・語法・熟語が加わった(大問4)

ここから、大問別に詳しく見ていきましょう。


大問1

ここが設問数も一番多く、メインの問題です。
700〜800語程度(だいたい2ページ分ぐらい)の長文問題で、これは大学受験で標準的な長さです。
設問は主に3種類あります。

大問1の設問タイプ
1つの長文を、3つの角度から問う
同意語句

「下線部の語句に最も近い意味のものを選びなさい」

空所補充

「空所に入れるのに最も適切なものを選びなさい」

内容一致

「本文の内容と一致するものを選びなさい」

英文のレベルは基礎的。
凝った言い回しや特殊構文、抽象的な表現はそんなにないです。

といっても、共通テストや英検2級レベルぐらいはあると思ってください。
決して簡単ではありません。

設問は比較的シンプル。
内容一致は細部を聞かれることはあまりなく、論旨を問うものがほとんど。
わかりにくい言い換えなどもされないので、ちゃんと本文が読めていれば正答できます

空所補充や同意語句は熟語(イディオム)が多いです。
推測でも答えられなくはないですが、熟語を頑張っていれば大きなアドバンテージになります。

ちなみに、英語長文問題はこんなふうに
本文と設問のレベルをわけて分析するのがポイントです。

ここがポイント

英語長文は、本文のレベル設問のレベルを分けて見る。

この見方でいうと、甲南大学は標準的な本文 × やや易しめの設問という性質です。
だから「本文が読めれば得点しやすい」形になっています。

大問2

大問2は大問1のミニチュアだと思ってください。

英文の長さが400〜500語程度(1ページ半ぐらい)になり、設問の数もそれに合わせて少なくなっただけで、特徴は大問1と同じです。

大問3

大問3は会話文の空所補充問題です。
1ページ分ぐらいの会話のやり取りの中で、空所に入る語句を答えていきます。

ここは ScrambleやNextStage の「会話表現」の章にあるような、
会話文独特の表現はほとんど出ていません。

形式が会話文なだけで、問われるのは普通の読解力と語彙の知識です。
ここでも熟語が問われやすいです。

大問4

大問4はいわゆる文法問題で、全部で10問。
大学受験では「文法問題」と一口に言っても、実は文法問題・語法問題・熟語問題の3種類があります。
甲南大学は、この構成比率に少し特徴があります。

文法問題の内訳(文法・語法・熟語)
※だいたいの割合。語法と熟語は区別しづらい問題もあります。
一般的な傾向
  • 文法30%
  • 語法40%
  • 熟語30%
甲南
  • 文法80%
  • 熟語・語法20%

甲南は文法に集中した出題で、熟語・語法はその他という位置づけです。一般的なバランス型とは、そもそも分布が違います。

実は大学受験でよくあるのは、文法問題が少なめで、語法や熟語が中心の出題です。
ですが、甲南大学はおよそ8割が文法問題

しかも出題は特に頻出単元に集中していて、大問のなかで同じ文法単元から2問出題されているケースもあります。
これもかなり珍しいですね。

同じ単元が複数出た例
※一例です。実際の出題データに差し替えてください。
年度
方式
出題
2026年
一般入試
関係詞から2問
2025年
一般入試
分詞から2問
2025年
一般入試
不定詞から2問

問題のレベルは易しめです。
基本的な問題集をちゃんと理解していれば、特にひっかけはなく、ちゃんと解答できます。

対策

まずはここまでの内容から、フツーの対策を考えてみましょう。

単語は英検2級レベル

ターゲット1900なら1500まで、シス単なら1200までをマストだと考えましょう。
ただ、単語は単語帳だけで覚えるものではないし、語彙力は高ければ高いほど良いので、あくまで目安です。


基礎文法の習得

文法問題はもちろん、読解にも基本的な文法の理解は必要です。
ただし甲南大は文法問題でも読解でも細かい文法知識は問われないので、ここはミニマムに済ませてしまった方がいいでしょう。
大岩のいちばんはじめの英文法+はじめの英文読解ドリルの組み合わせがオススメです。


とにかく読解力

他の大学と同様に、甲南大でも読解力が一番大切です。
ハイパートレーニングなどをまず1冊完璧に習得して読み方の型を身につけ、そこからは多読です。
過去問をたくさんやるのも効果的です。


文法問題は頻出単元を集中的に

文法問題は極端なほど頻出単元に偏っているので、強弱をつけて勉強しましょう。

よく出る文法単元
最優先
不定詞動名詞分詞関係代名詞前置詞
次点
時制仮定法受動態名詞

群前置詞も頻出。参考書によって「前置詞」の欄と「熟語」の欄に分かれていることがあるので、両方を見ておくと取りこぼしません。


熟語は頑張っておくと得

甲南はどの大問でも、熟語をポイントにした問題が多く出題されています。
熟語に力を入れておくと点数が取りやすくなります
まずは Scramble Basic のイディオムを完璧にするのはマストです。

コラム
イディオムは「なぜこの意味になるか」で学ぶ

イディオム(=熟語)は参考書によって分類が違います。たとえば Scramble の分類だと、
・動詞中心
・形容詞副詞中心
・名詞中心・前置詞の働きをするもの
という具合です。
その中で、甲南のイディオムは基本動詞と前置詞に関するものが多いです。

make や go といった基本動詞や前置詞は、突然知らない意味で使われていたり、抽象的すぎてよくわからないときがありますよね。

イディオムの学習を丸暗記ではなく「なぜ、この組み合わせでこの意味になるのか?」を理解しながら進めると、基本動詞と前置詞の習熟度が上がります。
すると、初めて出会ったイディオムでも意味を推測して答えられるようになります。
せっかく学習するなら、こういうところまで狙っていきたいですね。

学習戦略をどう立てるか?

甲南の特徴は上に書いたとおりですが、多くの人は甲南大学だけを受験するわけではないですよね。
ここからは、併願戦略を少し考えてみましょう。


①関西学院大学 × 甲南大学

板宿の生徒ではよくある併願セットです。
このセットなら関学に挑戦するために、甲南には確実に受かっておきたいと思うものです。

関学は甲南よりもさらに大問数も多く、問題のバリエーションや、要求される知識も多いです。
逆に言えば関学の対策が自動的に甲南の対策になっている部分も多いので、基本は関学のことだけ考えて学習戦略を立てればよいでしょう。

ただし、甲南を確実にしたいなら、途中の成果確認で甲南大の過去問を使うのがオススメ。

特に文法学習では、甲南で頻出の単元を優先的に勉強して、過去問でしっかり得点が伸びていることを確認しながら進めると安心感があります。


②関西大学 × 甲南大学

関大は読解問題ばかりの出題で、文法問題を単独では課しません
(長文読解の中で文法的判断が求められる問題はあります)。

また会話文も、同じ形式ですが要求される力や、解くときの頭の使い方が全然違います

ただ、問題の形式が違いすぎるので、関大基準ですべてのメニューを組むと、
いざ甲南の過去問を解いてみると感覚が合わないことも出てきます。

まだ修正が効く10月ぐらいには甲南の過去問をちゃんと解いてみて、
必要なら甲南専用に会話文や文法問題のトレーニングを入れた方がいい場合もあります。


③国公立 × 関西学院大学 × 甲南大学

国公立志望ではよくある併願セットです。
この場合、国公立を第一志望に据えているケースが多いので、共通テストを中心に考えることになります。

先ほど書いた通り関学-甲南は関学中心の勉強にしておいて大丈夫なので、
問題なのは共テ-関学の相性です。

共通テストと関学の問題が違うので、そこに少し難しさがあります。

特に英語は、共テは文法の勉強をあまりしていなくても感覚的に読めてしまう人がいます。
そういう人が関学の問題を解くと全然できない可能性があります。

だから早いうちに(夏、遅くとも9月)に関学の問題を1、2本解いてみることをオススメします。
そこで文法知識が課題に挙がってくるなら、文法学習もメニューに組み込みましょう。

アカデミーでは何をやっているのか?

さて、ここからが当会の本領です。

大学の問題を分析して、それに見合う参考書の処方箋を出すのは簡単です。
今ならAIでも、かなりの精度で学習戦略を提示してくれます。

でも現実問題として、多くの受験生が、勉強が上手くいかず伸び悩んでしまっています。
正しい戦略があるのに、勉強が上手くいかないのはなぜでしょうか?

それは「理屈として正しい受験戦略」をこなしているだけで、「その人専用の受験戦略」になっていないからです。


① 環境全体を見る

たとえば国公立志望の人が
「共通テスト対策はこれ」
「2次試験対策はこれ」
「私立対策はこれ」
とそれぞれに対策を用意してしまうと、キャパオーバーして結局何も身につかないままになってしまいます。

出題の形式や難易度が違っても、本質的に必要とされる知識や技能には共通しているものもあります。

当会では
共テ対策を最優先にして、その勉強を2次や私立の志望校にも効くように行う
といった考え方をします。

また、通っている高校のカリキュラムを活用できる場合もあります。
平日は朝から夕方まで学校にいるのだから、その時間を活用できる方が得です。

学校の英語演習のテキストを、こんなふうに勉強すれば長文問題集の代わりにできる

そんなアドバイスをすることもあります。

塾で別メニューを組んで、学校で内職で進めるより、よっぽど効率的です。


② 勉強の中身を見る

「この参考書を2か月で3周しましょう」というメニューを実際にやってみると、そこには色んな問題が起こります。

難しすぎて進まない。
やる気が起きない。
そもそも1周目の学習に失敗しているから、3周しても何も身につかない——。

これらは全て、勉強の中身を見ていないせいで起こることです。
当会では
「どの参考書をどんなペースでやるか」
よりも
そのときに、頭の中で何が起こっているか
を大事にします。

「この問題はどうやって考えた?」
「理解したって言ってるけど、ここまで理解できてる?」
「どうやって覚えた?」

そんな頭の中の感覚・理解・記憶を心理学的に分析して、学び方を少しずつ修正していきます。


講師主体から生徒主体へ

受験業界では長らく
講師が戦略・計画を立て、生徒がそれを実行する。
講師が進捗を管理し、生徒がそれに合わせて勉強する
という考え方が一般的でした。

しかし、当会の進め方は真逆です。

一般的講師が主体
講師
計画・管理
生徒

講師が戦略・計画を立て、生徒はそれを実行する。進捗も講師が管理する。

当会生徒が主体
生徒
分析・調整
講師

まず生徒が動く。その学び方や進み方をプロが分析し、戦略や計画を一緒に調整していく。

まず、(仮決めした計画に対して)生徒が勉強を進めてみる。

その学び方や進み方をプロが分析し、
学習法を指導したり、
戦略や計画を調整したりする。
そんなスタイルです。

そこで鍛えられるのは、学力そのものだけではありません。
学力を支える力です。

  • 自己分析の力
  • 試行錯誤の力
  • 自分で考える力

受験にはこれらの力が必須だし、何より社会に出てからより求められる力です。

この記事を読んでくれた人たちも、受験に向けて最初から誰かに指示を求めるのではなく、まずは自分なりに考えた志望校への戦略や、勉強しているときの悩みや感触などを、言葉にしてみてください
そして、できればそれを誰かにぶつけて、相談してみてください。

あなた自身に根付いた受験戦略を立てることができれば、着実に成長していけますよ。